■北方稜線@剱岳(北ア) |
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レポート No.828 |
〜北方稜線を歩き仙人温泉から水平道で下山〜 |
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9月12日 自宅(19:30)〜立山(0:00) |
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小窓雪渓〜仙人池ヒュッテ 鉱山道 9月14日 鉱山道は、事前に地形図でルートを把握はしていたが、等高線の混み具合が気になっていたところだ。予想通り、岩壁のトラバース道で、進むにつれ雪渓からの標高差が大きくなり、気の抜けない区間になった。過去にも多くの事故が発生している一般道ではなく、バリエーションルートだ。カライトソウがたくさん咲いていたのが印象に残った。振り向くと、八ツ峰やチンネが一望できた。裏から見る剱は迫力があった。 池の平 尾根を回り込むとやがて池の平が見えてきた。草地にはトリカブトやミヤマアキノキリンソウなど、秋の花が花盛りだった。ルート上にモリブデンの原石があり、きらきらと光っていた。 小窓雪渓から約1時間で池ノ平小屋に到着した。小さな小屋で、キャンプ場もあり、室堂に帰るならここで宿泊する予定だった。ご主人が薪でお風呂を沸かしていて、宿泊者を迎える準備をしているようだった。小屋の下の方に池ノ平があり小屋から遊歩道が延びていた。山深いが故に登山者は非常に少なく、剱岳の山頂にこだわらず、池ノ平を目的にする山旅も趣があってよさそうだ。 とりあえずここで北方稜線のバリエーションが終わったので、ほっとひと息すると同時に力が抜けていった。ここからは一般道だが、まだ2時間の行程が残っている。仙人温泉小屋には18時までには到着しますと連絡を入れているが、やはりその通りになりそうだ。 仙人池ヒュッテ やはり一般登山道になると歩きやすくなる。仙人峠までは緩やかな登りだが、標高が下がってきており、しかも、西日を受けて蒸し暑い。疲労もピークにきていて、汗を流しながらやっと仙人峠に到着した。仙人峠は見通しも風通しも良く、フライシートを乾かしながら小休止した。 仙人池ヒュッテは峠からよく見えていて、実際に歩いてみるとルートも良く整備されていた。途中、真砂沢への分岐を見送り約15分でヒュッテに到着した。こじんまりとした小屋で、ここまで足を伸ばす登山者は多くはないだろう。仙人池ヒュッテといえば、仙人池越しに見る紅葉の時期の裏剱が有名で、撮影するには午前中の順光を狙いたい。できればここを今宵の宿にしたいくらいだが、明日の行程を思うと少しでも駒を進めておきたい。 仙人谷登山道 さて、ヒュッテから仙人温泉まではコースタイムで1時間10分。疲れ切った身体に鞭を入れ、仙人谷を下った。ところがルートに踏み入ると、一般道といえどもなかなか手強いルートで、踏み跡はしっかりとしているが、油断のできないところが何カ所かあった。この日の仙人温泉の泊まり客は8人だったが、この谷を下ったのは大阪からの若者3人組と我々だけだった。つまりこの三連休、室堂から仙人谷を通って欅平に抜けたのは2パーティのみということだ。仙人谷がいかに歩かれていないか、それはルートの整備状況から推測できた。 左岸から下り始め途中、2回ほど徒渉し、最後は左岸で仙人温泉に到着した。下るにつれ谷は深く険しくなっていった。ミヤマトリカブト、サラシナショウマ、オタカラコウ、チョウジギクなど秋の花がたくさん見られた。 1時間ほど下ると対岸に仙人温泉の源泉の湯煙が見えてきた。もう少しだが、左岸のルートは歩きにくく、疲れた足腰に堪えた。うさぎが段差を降りたところで転倒し落ちそうになったが、間一髪、草の根に捕まり事なきを得た。遅くなってもいいので、疲れたときは随時休憩を入れるべきだった。 尾根を回り込みしばらく進むと「おつかれ様 仙人温泉」と書かれた岩があり、小屋はすぐ先にあった。剱から北方稜線を歩きやっとたどり着いた温泉小屋は、まさしく山のオアシスのようだ。行動時間は14時間になった。コースタイムを11時間と見積もっていたので、休憩や待ち時間を差し引くと想定内の時間になった。北岳バットレスや谷川岳などのバリエーションは16時間の長丁場だったが、いずれもベースキャンプ型で、荷は軽かった。今回は縦走タイプなので、荷が重くて疲れた。 仙人温泉小屋 9月14日 17:50 ご主人とボランティアさんで営まれている小屋なので、柔軟に対応してもらい、食事の準備はできていたが、先にお風呂に入ることにした。対岸の源泉から湯をパイプで引き込んだ露天風呂は格別だ。ビールを片手に秘境の源泉に浸かると、今日のハードな行程の疲れが流れていった。30分ほど湯に浸かり食堂に入った。暖かいご飯と味噌汁はありがたい。食事をしながらゆっくりと談笑したいところだが、疲れているので早々に切り上げ宿泊棟に入った。 |
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2014-9-16 Copyright (C) 2014 k.kanamaru. All Rights Reserved. home |