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■奥穂飛騨尾根(北アルプス)
〜錦秋の岳沢ベースのジャンダルム飛騨尾根の登攀〜

レポート No.910
日時:2015年9月26日〜27日
参加者:Tjさん、隊長、うさぎ

9月25日 鈴鹿〜春日井(21:00)〜沢渡(0:30)
9月26日 沢渡(6:10)〜上高地I(6:40)〜紅葉狩り〜岳沢小屋(11:30)〜南陵取り付き扇沢偵察〜コブ沢偵察〜岳沢紅葉撮影
9月27日 岳沢キャンプ(2時起床2時45分出発)〜天狗沢〜天狗のコル2800m(5:10)〜コブの頭(6:50)〜αルンゼ下降開始(7:10)〜小滝を3つ懸垂下降〜クライム開始(8:30)〜T3〜T2〜T1〜(11:55)ジャンダルム3160m(12:15)〜天狗のコル(13:30)〜(15:00)岳沢キャンプ(15:30)〜岳沢登山口()〜上高地(17:25)〜沢渡(18:10)〜沢渡の温泉〜〜中津川で夕食〜春日井(11:00)〜鈴鹿(00:00)

26日の1・・26日の2・27日の1・27日の2・ 27日の3


ジャンダルム飛騨尾根の登攀 

飛騨尾根について、「ジャンダルムから飛騨川に伸びる長大な岩稜、普通はT3付近から登攀を開始する」(日本登山体系 槍ヶ岳・穂高岳 1997)と紹介されいる。奥穂ー西穂縦走のときジャンダルムから、コブ尾根登攀終了時にコブの頭から、必ず目に飛び込んでくる尾根だ。V 200mの登攀のために、長くきついアプローチを強いられる。従って、コブ尾根の登攀の延長に位置づけ、飛騨尾根との連続登攀を計画したが、天候に不安な要素があったので、岳沢の紅葉とセットで今回の飛騨尾根登攀を計画した。まずアプローチだが、最も効率がいいのは、初日に上高地から「天狗のコル」経由で「コブの頭」まで上がりビバーク。二日目の早朝から「飛騨尾根」を登攀し上高地まで下山するプランだ。ただしこの場合、すべての荷物+水二日分を3100mまで担ぎ上げなければならない。また、コブ沢の雪渓の状況により苦戦が予想されることなど、課題も多い。今回、岳沢の紅葉を満喫したいという目的もあったので、二日目の一日ですべてを完結できるように計画した。我々の足ではどう見積もっても、14時間以上の行程になるが、アルパインとしては一般的だ。ということで次のプランになった。さてどうなったか。


岳沢野営場(3:30)〜 コブ沢(4:00)〜天狗沢〜天狗のコル(6:30)〜コブ尾根の頭(8:00)〜あるふぁルンゼ下降と飛騨尾根登攀亜〜ジャンダルム頂上(11:00)〜天狗のコル(13:00)〜岳沢(14:30)〜上高地(17:00)

天狗沢〜コブの頭 2:00に起きて温かいスープとパンで朝食を済ませた。この時間に行動を開始したパーティーはいない。準備をして2時45分に岳沢小屋を出発した。ガレた天狗沢だが登りは比較的歩きやすい。途中に小休止を入れて2時間20分で天狗のコルに到着。もう少しペースは上がったと思うが、長丁場のために体力を温存しながら登った。

    
天狗のコル      天狗沢と上高地

天狗のコルに上がる頃に明け始めた。天狗のコルは標高は約2800m。曇りがちだが穏やかな天気になりそうだが、飛騨側からの風が寒い。手がかじかんでしまい手袋をしたがなかなか温まらなかった。

    
天狗沢           畳岩尾根の頭付近

2年ぶりに歩く区間だ。天狗のコル(約2800m)からコブの頭(約3140m)まではひたすらの登り。コースタイム通り1時間30分でコブの頭の到着した。なかなかからだが温まらなかった。本来はここでビバークの予定だったが、登攀行動を開始するまでに34時間近くを要した。


岳沢側を巻いてコブの頭へ

    
左:コブの頭で登攀準備、寒い      右:ジャンダルム飛騨尾根 

 
コブの頭で登攀準備、すっきりと雲がとれない天気のようだ。

αルンゼ下降 さてここから登攀行動が始まる。時間は7時10分。予定時間より、出発が早かったので、予備の時間を確保できた。(沢の名称「β沢」と呼ぶ場合もあるそうだ)途中いくつか小滝があると、日本登山体系には書かれているが、時間にゆとりができたし、リスクを極力減らすために小滝3つをすべて懸垂で下った。

    
αルンゼを下降し飛騨尾根T3へ

αルンゼは傾斜がきつく、岩屑が谷を埋めていた。不用意に岩に体重をかけると、ゴロゴロと崩れる。八峰の「池の谷」もガレがレダが、ここはそれ以上だ。


αルンゼの下降

小滝の懸垂は探せば必ずハーケンがあるが、1本だったり、緩かったり、テンションかける前に、ハンマーでたたいて手応えを調べる必要があった。一本で不安なところは撃ち足した。

    
ハーケンを打ち足して懸垂下降   岩雪崩を起こさないように慎重に懸垂

      
小滝の懸垂下降

 

        
小滝を3回、懸垂下降してC尾根の取り付いた

       
Tjさん、懸垂      ハーケンの支点

         
小滝の懸垂下降、ちょっとロープが足りません。

小滝を3回懸垂下降し4つ目の小滝の滝口からC尾根へのトラバースに入った。実質上のクライムオン。

T3C尾根  1ピッチ目 4つ目の小滝の落ち口でカムでビレイしクライミングを開始した。地衣類が付着し黒くなった岩を避け、トラバースでC尾根に向かった。途中のハイマツでピッチを切った。

トラバース 2ピッチ目 さてここからはハイマツ帯を避けて、C稜に取り付いた。支点をハイマツとカムで取った。カムはキャメ#1以下が有効だった。ロープの流れを気にしながら伸ばしたが、傾斜が内のでやはり、ロープが重かった。少しガスが晴れてきて、αルンゼを挟んで対岸の「コブ尾根の頭西尾根」がよく見えた。

       

    
コブ尾根の頭西尾根        T3のC尾根(写真右)

      
左:まずはC尾根を目指す

主稜に乗る 3ピッチ目 C尾根の取り付く。傾斜が緩くおもしろみがないが、ロケーションがよすぎるので許そう。残地ピンはほとんどないのでカムで支点をとりながら登る。やはりキャメ#1以下が有効だ。

       
C尾根の登攀


ハイマツ帯を避けながらC尾根をめざす

主稜に乗ると手の届くところに奥穂高岳がいえていた。眼下の沢が白出沢だ。もう少し天気がいいといいのだが、手袋をしていてもなかなか手が温まらなかった。昨日の青空はどこへ行った。

      
左:αルンゼとコブ尾根の頭西尾根       右:奥穂高岳

      
白出沢側をのぞき込む           奥穂高岳


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2015-9-28 Copyright (C) 2015 k.kanamaru. All Rights Reserved.  home