■北鎌尾根@槍ヶ岳(北アルプス)2012年8月31日〜9月2日 No.690 とっちゃん、隊長、うさぎ | ページ1 | ページ2 | ページ3 | ページ4 | ページ5 | 独標(P10) さて、独標だ。地形図上は標高点P2899になる。北鎌尾根の中で最も顕著なピークでもある。これを越えるには直登かトラバースかだが、直登となると何ピッチかロープを出さねばならず、時間的にも無理がある。もちろん装備は持参しているし、難しいコースではないので、直登は可能だが。今回は一般的なトラバースルートで時間短縮を図った。概略図 トラバース 基部から少し尾根を進むと岩塔に行く手を阻まれた。ここがトラバース道の入り口らしい。その前に直登コースの取り付き点を確認しておいた。フィックスロープが垂れ下がっていたが、ルンゼを攻めるらしいが、今回はパス。 トラバースし始めるとすぐに残置ピンに緑色のフィックスロープが設置されていた。念のためDCでプロテクションをとり通過。踏み後がしっかりとしている。山腹をトラバースしていくと庇状に岩が出っ張ったところがあるが、一段下のスタンスを使いバランス良く通過すれば問題ない。出口でしっかりとしたホールドを見つけないとバランスを崩すことになる。心配であれば確保した方がいいだろう。 トラバース道はザレた斜面だったが、ミヤマアケボノソウがたくさん咲いていた。白馬では秋口に四組掛ける花だが、こんな所にまとまって咲いているとは思わなかった。 山頂を過ぎた辺りでトラバースに見切りをつけ稜線を目指すが、1カ所、W級程度のクラックの登攀がある。2,3手だが、重いザックを担いでいると腕力の少ない女性にはつらい。残置スリングがあったので、念のため、DCでプロテクションをとり通過した。これを通過し少し進むとP10とP11のコルになるが、そのままトラバースするのは得策でなく、スラブを稜線めがけて登った方だいい。稜線に出ると左に独標のピークが見えていた。数分の距離だが今回はパス。 P11 独標からコルへ慎重にクライムダウンしP11の登攀にとりかかった。この辺りから青空が覗きはじめ、北鎌尾根の核心部分へと突入していった。いくつかの小ピークからなるP11の岩峰を、ピークを踏んだり巻いたりしながら進む。どのラインを通るかはその時の判断だ。決まったルートはない。遊びすぎると時間を消耗し、効率化を求めるとおもしろみがない。この辺りの駆け引きがバリエーションの楽しみでもある。ただし、巻きすぎると逆にリスクが高くなることもある。稜線通しで歩くのが基本。概略図 P11の稜線は岩も安定していて、また、天候にも恵まれ、写真の枚数も当然多くなってきた。眼下を見下ろすと、朝、出発した天上沢が糸を引いたように細く見え、高度感が実感できた。また、水晶岳、三叉蓮華岳、鷲羽岳など、黒部源流の山々を一望できた。隣の硫黄尾根の赤茶けた岩尾根が印象的だった。天気がこのまま槍ヶ岳まで続けばいいと願うが、残念ながら西の方から黒雲が近づいてきた。雷雨にならなければいいが。 |
2012年9月3日 Copyright (C) 2012 k.kanamaru. All Rights Reserved. home |