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白馬鑓ガ岳、唐松岳(北アルプス)2009年8月8、9日 No.501 隊長
〜白馬へ花見に出かける〜  
早月尾根から剱岳登山を計画していたが、事情により白馬へ予定を変更した。天候不順のため今年は、アルプスのベストシーズンといわれる7月下旬から8月上旬にかけ、予定が立たなかった登山者も多いことだろう。今回の山行も雨は避けられない天候だったが幸い、低気圧や前線の活動が弱まっており、等圧線も緩やかであったことに多少の期待をもって出かけた。今年まだ高嶺の花をしっかりと見ていなかったので、山域を白馬とした。3年続きの白馬となったが今回は、コースに不帰のキレットを入れることで変化を持たせ、天候次第で五竜まで足を伸ばせる計画を立てた。
【8月8日】
猿倉(6:00)〜(6:59)白馬尻(7:10)〜アイゼン装着(7:45)大雪渓(9:15)〜小休止〜岩室(9:40)〜(11:45)頂上宿舎(12:05)〜(14:58)鑓ガ岳2903m(15:15)〜天狗山荘野営場(16:04) 距離12.7km +2141m -650m カメラα700 OptioW60 *累積標高はGPSによる コース
【8月9日】
天狗山荘野営場(5:25)〜天狗の頭2812m(6:11)〜最低コルP2411(7:30)〜不帰(1峰7:57、2峰2614m南9:19、3峰)〜(10:11)唐松岳2696m(10:18)〜(10:30)唐松山荘(11:00)〜P2361(11:49)〜八方池(12:42)〜八方池山荘(13:42)〜ゴンドラ〜八方(14:04)〜タクシー〜猿倉(14:40) 距離12.1km +1137m -2000m カメラα700 OptioW60 *累積標高はGPSによる コース

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アプローチ 車の屋根を打つ雨の音で目が覚めた。時計を見ると4時半を過ぎていた。途中で鈴鹿の自宅に立ち寄り山行の準備をしたが、熊野から車で480キロ走って白馬岳の登山口である猿倉に到着したのは午前2時を過ぎていた。特別割引の1000円を適用するには、長野道の豊科ICを0時以降に出なければならない。豊科ICから登山口の猿倉までは60キロほどあるので1時間30分ほどかかる。早く出発すれば途中のSAで仮眠できるが、早朝出発だと猿倉の臨時駐車場が満車になる可能性があった。
 後部荷室で横になりしっかりと眠れたものの、睡眠時間はわずかに2時間半だ。頭がぼーっとして、これからの行動を考えるよりも、もう少し横になっていたい。雨はやむ気配がないので、もう少し眠ることにした。30分ほどうとうとしていたが、ほぼ満車になた駐車場は、雨にもかかわらず登山者で活気づき、その雰囲気に掻き立てられて、徐々にモチベーションが上がってきた。この駐車場を利用するのは3度目だが、いずれも雨の出発となった。雨の似合う駐車場だ。

  
猿倉臨時駐車場               猿倉荘

  
林道に咲くソバナとシシウド

出発 今回で3年続きの猿倉出発となったが、今回が最もモチベーションが低かったようだ。駐車場からとぼとぼと歩き猿倉荘まで来ると、たくさんの登山者の活気に少し目が覚め、登山モードに入ることができた。出だしから雨に降られると、どうしてもエンジンがかかりにくくなる。ましてや自身5度目の白馬岳ということもあり、少し中だるみ気味だ。

白馬尻 カッパを着て歩き始めるがすぐに、体が熱くなってきたので傘に切り替える。夏場の登山の傘は重宝する。山荘横から10分ほどブナ林を進み、林道に入る頃には体が温まり、完全に登山モードにスイッチが入った。雨に濡れ色鮮やかな花を咲かせるソバナがよく目についた。白馬鑓温泉への分岐を左に見送りしばらく進むと林道終点だ。山小屋関係者の車が何台か停められていた。谷筋に石畳や木道の道を行くとやがて白馬尻に到着する。谷筋にはオタカラコウ、ミソガワソウが黄色や紫色の花を咲かせていた。ここまで来るとまた今年も、白馬岳にやってきたんだなという実感が湧いてきた。

  
白馬尻

 予定通り白馬尻に到着し小休止を入れ、簡単な朝食をとる。小屋前の広場からは大雪渓の末端部分が酔う見える。昨日からの雨と雪解けの水が合わさり、沢の音も騒々しくなっていた。雨は断続的に降り続いているが、大雪渓まで眺望できたのでよしとしよう。さてここからだが、大雪渓までは20分ほどかかる。その間に、落石の多い大雪渓なので、少し気を引き締める。小屋周辺やこの間にはキヌガサソウがよく見れれるが、今回は時期が遅かったので花期を過ぎていた。

大雪渓 降雨のために雪面が滑りやすくなっているので、アイゼンを装着する。アイゼンなしでもいいと思うが、20キロ近い荷を担いでいるのでやはり、アイゼンを装着した方が足下がしっかりとする。準備が整った人から順に出発していく。巡視員の人が落石注意を促していた。ガスに包まれているときは、ただひたすら雪面を見て一歩一歩足を踏み出していく。「ザクザク」とアイゼンが雪面をとらえる音が単調だ。時折落石の音が谷に響く。ガスで状況がつかめないので余計に恐怖感を感じる。少しでもリスクを減らすには早くこの雪渓を通過するに限るが、そうもいなかい。約1時間半で無事に雪渓を抜けることができた。落石は杓子からのものが大部分だが、葱平の取り付きあたりも危険だ。登山者はここでアイゼンを外し、小休止を入れたくなるところだが、長居は無用だ。それから下部の2,3号雪渓から落ちてくるやつもあるようだ。いずれにしろ雪面を転がる岩は音を出さないので不気味だ。最初の頃は自分に限って落石はないだろうと思っていたが、回数を重ねるごとに危険度がわかるようになってきた。雪面に転がっている落石群はそれを物語っている。

  
白馬大雪渓



雪渓上部は落石が多い

葱平 大雪渓を登り切った疲労が蓄積しているので、葱平の急登は堪えるが、立ち止まるのは危険だ。沢筋には「立ち止まるな」の注意書きがある。ただ花が多くなるのはこの葱平からで、地名の由来となる「シロウマアサツキ」もこのあたりに多い。ようするに「ネギ」だ。例年より登山時期が遅れたの功を奏し、花はちょうど見頃となっていた。ただ落石の危険が多いので、のんびりと撮影はできない。

  
左:岩室         右:葱平から大雪渓上部を見下ろす

  
色鮮やかな車百合             葱平の急登


杓子岳山体上部

  
左:シロウマアサツキ    右:大雪渓上部、登山者がアリの行列のよう

 葱平上部にも巡視員が一人配置されていて、大雪渓上部や葱平の様子をうかがい、落石を監視していた。雪渓の縁の草付き斜面は、ミヤマキンポウゲ、シナノキンバイが花盛りで群生していた。他に、カンチコウゾリナ、オタカラコウ、ハクサンフウロ、キオン、イブキジャコウソウ、ヨツバシオガマ、クルマユリが普通に見られた。ミヤマオダマキは少数派で、秋の花であるミヤマトリカブトがすでに咲き始めていた。これらの花をもう少し時間をかけて撮影したいなと思いつつ、勢力の90パーセント以上を登りのために費やしているので、なかなか気持ちにゆとりがもてないのは今回に限ったことではない。


雪渓の縁の草付き斜面は、ミヤマキンポウゲ、シナノキンバイが花盛りだった

  
上部はガレ場が多くなってくる。今年は残雪も多いようだ。

避難小屋 上部はガレ場が多くなってくる。今年は残雪も多いようだ。ここまで来ると登りの傾斜もゆるみ、少し気持ちにもゆとりができてくる。避難小屋が倒壊してからしばらく、基礎だけが残された状態だったが今年は、再建工事が始められていた。


避難小屋の再建工事が進んでいた


谷筋に咲くシナノキンバイ


鮮やかな色で人目を惹くクルマユリ

山上の楽園 避難小屋から山上宿舎までは花の宝庫で他にも、雪渓あり、大岩あり、沢ありで、とりわけ山上の楽園といったところだ。ここには白馬岳を特徴付ける景観が広がっている。沢筋にはオタカラコウの群落があり、黄色の絨毯のようであった。ただ登り初めて5時間が経過し、疲労度もピークに達しているのがこのあたりで、「歩みの鈍い亀」のような足取りになっている。


オタカラコウの群落


村営宿舎まであと少し

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