2022年8月9日〜8月11日 No.1457

北アルプス奥穂高岳南陵の登攀2 登攀開始

岳沢小屋 5:20

この日は奥穂高山荘に宿泊するので時間的なゆとりがある。天気予報はまずまずだったがガスが上がらない。少し出発時間を遅らせ、ガスは上がると信じ5時半に出発した。

扇沢雪渓

朝の雪渓はほどよくアイゼンが効く。岩壁への取付は前日、若い人に偵察してもらってあるので不安はない。
岳沢小屋
雪渓を登る

ウエストンと嘉門次 南陵

寒い、曇り空の朝になった。朝食を済ませ、リュックサックに観測器や食料を詰め込んで、しばらく待っていたが、猟師たちの戻ってくる気配はなかった。ずるずる二時間も過ぎた頃、・・・・・・猟師の一風変わった顔とちびだが頑丈そうな体が見えた。彼の遅くなったいいわけは、天気が悪いから出かけない方がいいということだ。しばらく無駄な議論で時間を潰したが彼の方が折れた。「嘉門次はいきたくなかったが渋々出かけたということ」・・・・・・日本アルプスの登山と探検(ウェストン著)岩波書店より引用


アプローチルートは、明神の右岸から岳沢に入っている。クマザサの生い茂る斜面を進んでずぶ濡れ。ようやく長いガレ場にきて歩きやすくなり、前方に見事な岩壁が立ち上がってきた。「たぶん岳沢を詰めていった様子がわかる」このあとクロフサスグリの藪がでてくる。たくさん食べいる。クロフサスグリは、カシスと呼ばれる食用落葉低木だが、それは見かけていない。そのあたり、クロマメノキ(ブルーベリーの仲間)はあるのだが。さらにその先で木イチゴをたくさん食べている。
岳沢野営場

雪渓の状態

上高地から見上げる岳沢。気になるのは雪渓の状態。前回のコブ尾根から3週間季節が進み、コブ沢の雪渓は寸断されていた。扇沢の雪渓もかなり後退している。コブ沢に比べると取付はそれほど難しくないが、やはり、岩壁への取付カ所が気になる。

南陵取付 6:10

コブ沢と比べるとこちらの方が取り付きやすい。右手に大滝(水はない)を見て簡単な登攀で正面のルンゼに取り付く。といっても岩が雨に濡れ滑るので、フリクションはないものとしなければならない。

ルンゼ

1時間強ルンゼを登る。草や岩をつかみながらの急登。草付き斜面はアックスが有効だ。道具は有効に使いたい。
末端のシュルンド
ルンゼ取付岩壁
岩と草のミックス
ギャップはあるが巻ける
上部に下部岩壁が見えてくる
下部岩壁のバンドを右上しハイマツ帯へ
シモツケソウが見頃だ
ルンゼ
ウサギ菊
ミヤマトリカブト
ハクサンフウロ
ミヤマヤハズハハコ
ハクサンボウフウ
ダイモンジソウ

下部岩壁

ルンゼの突き当たりが下部岩壁。右上しハイマツ帯に入る。ハイマツをかきわけながら踏み跡をたどるとやがて尾根芯の岩壁に突き当たる。


ここからが登攀。1ピッチ35mくらいのクライミング。フェイスはつるつる滑ってフリクションは全くない。ロープを出す。靴は何を履こうが結果は同じ。グレード的にはⅢくらいでしょうか。
下部岩壁の登攀
ここから尾根の岩峰が始まる Ⅰピッチ 35m
ヨツバシオガマ