2022年8月9日〜8月11日 No.1457

北アルプス奥穂高岳南陵の登攀1 岳沢

【行程・登山者】


【8月9日】鈴鹿〜沢渡〜上高地10:25〜岳沢小屋13:10 2h45m
【8月10日】岳沢小屋5:20〜取付6:10〜ルンゼ分岐7:20〜モノリス9:15〜トリコニー1峰9:30〜トリコニー2峰10:30〜12:40南陵の頭12:50〜奥穂高岳3190m13:00〜奥穂高山荘13:30 +900m -270m 8h
【8月11日】奥穂高山荘5:25〜奥穂高岳6:00〜馬の背6:30〜ロバの耳6:55〜7:05ジャンダルム7:35〜天狗コル9:10〜岳沢小屋11:05〜見晴台12:05〜岳沢登山口12:55〜バスタ13:20〜沢渡〜鈴鹿 7km +280m -1754m 8h
【撮影機材】 GoPro9 OLYMPUS SONY ZV-1

YouTube
アプローチ・登攀編 https://youtu.be/cO8QL_Vwydk
下山編 https://youtu.be/Vdo3WxofMSs

【概要】

奥穂高岳南陵は穂高のバリエーション人気ルートだ。吊り尾根の穂高山頂の近くから岳沢に降りる尾根で途中に、3つの岩峰トリコニー1,2,3峰のある有名な古典ルートで、初登は名の知れるウォルター・ウェストンと上条嘉門次1912年。穂高登山のルートで毎年候補に上がるが、目的、動機、メンバー、天候など、諸要素が合致し、登る機会に恵まれる。記録を見ると今回が三回目だった。天候は、日本海に前線が停滞し、南海上に熱帯低気圧があり、夏の太平洋高気圧の張り出しが弱いという状況で、天気はあまり良くない。最終判断は風速がなんとか10m前後に収まりそうだったこと。それから、登攀的には、岩が雨に濡れてもなんとか登れるレベルの岩稜だ。

アプローチ

穂高の場合、バリエーションルートのベースが岳沢になることが多い。初日岳沢までなら行程が短いので早朝発で十分にゆとりがある。関東組と沢渡で合流し上高地に入った。上高地は夏休みに入り活気があった。


この日の予報は曇り。ガス、霧、雲、空気中の水滴に変わりはないが、中腹まで雲が降りてきていて穂高の稜線は見えなかった。水蒸気が飽和しているということ。

雪渓の状態

上高地から見上げる岳沢。気になるのは雪渓の状態。前回のコブ尾根から3週間季節が進み、コブ沢の雪渓は寸断されていた。扇沢の雪渓もかなり後退している。コブ沢に比べると取付はそれほど難しくないが、やはり、岩壁への取付カ所が気になる。
岳沢と雪渓
カッパ橋
霞沢岳
ソバナ
通過ポイント7

草付きの花

前回より3週間季節が進み、花の種類も秋の花へと変わってきた。ハクサンフウロが少なくなり、ホタルブクロ、イチヤクソウ、ノリウツギの花が咲いていた。
ハクサンフウロ
ノリウツギ
イチヤクソウ
ホタルブクロ
岳沢
アザミとはなばち
ゴゼンタチバナ

下見

前回のコブ沢もそうだが、今回の扇沢も下見は欠かせない。今回は若い人に行ってもらった。高齢者は小屋で鋭気を養う。今回、最終日にジャンダルム飛騨尾根の登攀を予定に入れていたので、二日目は奥穂高山荘を利用することにした。初日、テント泊にすると経費の節約になるが、テントが邪魔になるので初日も小屋泊にした。


小屋のスタッフは毎年変わるが、今年は小屋の雰囲気が良かった。ワインを飲みながら午後の時間をゆっくりと過ごした。食事もおいしかった。天気が気になっていたので何度もチャックを入れた。予報は悪くはないのだが、ガスが上がっていかないのが気になった。
ワイン
夕食 おいしかった

ウエストンと嘉門次 入山

木曜日8月24日1912年の朝は、二人の猟師(嘉門次および彼の仲間)一緒に徳本峠を越え、目指す山の麓に通じる道をたどっていた。橋場から谷を遡って行く途中、風呂平のへんてこな浴場のそばを通りかかると、例の負傷した測量技師が予後の静養にきているのに出会った。その経験談を聞いてみると、こちらの少しは愉快な登山ができそうな気がしてきた。武尊山の高さを尋ねてみたが、彼は知らなかった。彼は羅針儀と経緯儀を使っただけで、水銀気圧計とかアネロイド気圧計などは携帯していなかったのである。・・・・・・日本アルプスの登山と探検(ウェストン著)岩波書店より引用


その日の昼下がり、この前世話になった梓川左岸の朽ちかけた小屋に立ち寄った。荒れ果てた部屋の一つに牛飼いが二人止まっていた。「明神あたりだと思う」・・・・・綿入れの布団をどうやら一枚だけ借りることができた。ここに到着してもなく、嘉門次が見事なイワナを十匹ほど釣ってきた。それが夕食のおかずになった。彼は川の向こう岸に「猟小屋」があるというのでそちらの分かれて泊まらせることにした。かれは夜明けに戻ると約束して囲炉裏に火をおこしてからお辞儀をして仲間と一緒に出て行った。「ようするに明神の嘉門次小屋で泊まっている」・・・・・・日本アルプスの登山と探検(ウェストン著)岩波書店より引用