2022年7月28日〜8月1日 No.1456

剱岳チンネ左稜線の登攀 撤退

鼻で撤退 14:00

ポツポツと雨が当たり出してからすぐに雷雨となった。パチパチを雨具をたたく雨の音。14:00雨に濡れる体温が奪われていく。ガタガタと足が震える。これも想定内だが、これからの長い懸垂に気が重い。ピナクルで初級二人組がツェルトを被って待避していたが、我々と同じ行動をすることにした。


ピナクルが多いところでは短くピッチを切りながらの懸垂になり手間がかかるし、捨てロープを消費する。支点の状況を見て、ロープのスタックを避けるため、25mか50mかを判断した。
雷雨になってきた 土砂降りだ
リッジ部分の懸垂
リッジ下の凹角の懸垂

雷鳴

懸垂中も雷鳴が聞こえるので早く降りたいが、確実に操作をしないと懸垂は危険だ。体が冷えてきて寒く、足ががガタガタ震えてきた。2本のロープを効率的に使い4人のチームワークで下った。初級の二人がついてくるのを確認しながら下った。


お互いの安全を確認しながら、粛々と懸垂下降ルーチンをこなした。
リッジ

ハーケンが飛ぶ

ピナクルの懸垂でハーケンが一つ飛んだ。ショックがあり気付いたが、片方の一本でとまった。危なかった。古いハーケンは信用ならない。


ピナクルの懸垂

取付テラス 16:30

無事に取付に戻った。少し雨も小降りになっていた。後続の早月からの2人パーティもピナクル辺りから引き返したようだった。

三の窓ビバーク

17:00、三ノ窓のビバークサイトに戻った。来ていたものが濡れているので寒い。雪渓の水を探してくみに行くのも面倒なので、雪を溶かして水を作った。煮沸までやるとガスを消費するので、雪が解けたところで浄水器を使って濾過した。ビニール袋を雪を集め、朝まで置いておいたら解けていて、浄水器だけで水が得られた。軽量化のため食事はアルファ米とアマノフーズの牛肉の卵とじと袋ラーメン、サッポロ一番。この日の三の窓は、北方稜線縦走者のソロ、早月からチンネアタック2人組とわれわれ4人だった。この日は長時間行動で疲れたので早々にシュラフに潜り込んだ。雨に濡れると山小屋のありがたさがよくわかる。登攀は命がけなので装備は削れない。その分、生活に関する部分は質素になるのがアルパインクライミング。