2022年7月28日〜8月1日 No.1456

剱岳チンネ左稜線の登攀 登攀

チンネ左稜線登攀

チンネ左稜線は、三ノ窓雪渓、八ツ峰を見ながら高度感のあるリッジの登攀が楽しめる、剱岳山域屈指の好ルートだ。登攀的な面白さは、取付からピナクルまでのフェイスと後半のハング越えのフェイスからリッジだ。全般的にハイマツ帯が少し混ざるが、すっきりとした岩稜の登攀は気持ちがいい。全長が440mでボリューム感がある。初登は下半部1951年、上半部1957だそうだ。


三の窓雪渓
テラスへの取付

取付のテラス

三の窓から雪渓を20分ほどトラバースする。雪渓の状態にもよるが、アイゼンとピッケルは必要だろう。この日の雪渓の状態は緩み気味だった。気になっていたのは岩壁のシュルンドだったが、一カ所だけ岩壁に繋がっていた。テラスの下方から回り込んでテラスに上がった。


1パーティが先行していてすでに、ピナクルあたりまで到達していた。アイゼンからシューズに履き替え早速登攀開始。気象予報は14時から雨になっていた。夏のアルプス亜h午後、雨になることが多い。風速予報は数m以下だったので大きな崩れはないが、積乱雲が発生すると雷雨になることが多い。
テラスの取付
シュルンドが開いている

テラスからフェイス 10:30

テラスからは急な凹角を登る。上部は右も左もいけるが、右は少しロープの流れが悪い。グレード的にⅣ。残置ハーケンあり。一段上のバンドで短くピッチを切った。2ピッチ目は、左からフェイスを登った。残置ハーケンあり。2ピッチで40mほど。
1ピッチ目 急な凹角を登る
2段目のバンド

フェイス 11:00

ピナクル下までの50mを2ピッチで登った。フェイスを登りピナクルを回り込んだところでピッチを切った。次はルンゼからピナクル下の岩の間のテラスまで。
出だしのフェイス
フェイスの登攀 25m
ピナクル下方のテラス
バンドからルンゼを登りピナクル下のテラスへ 25m

ピナクルからフェイス

12:00。ピナクル下の岩の間のテラスからハイマツ混じりのリッジへ。傾斜はあるが、ホールド、スタンスとも豊富で登り易い。具志堅チームは別のルートを登った。岩の間のテラスからが正解のようだ。20m。


リッジ

ハイマツ混じりのリッジはコンテで。ほぼ歩きの40m。


ハイマツ混じりのフェイス

12:30。リッジの左のハイマツ混じりのフェイス40mⅡ。傾斜はあるが岩がしっかりしていて気持ちよく登れる。


リッジ上の凹角を登る。40mⅢ。この辺りで少し天気が怪しくなってきた。ここで先行パーティーに追いつき先頭を譲ってもらった。
リッジ左のフェイスを登る
三の窓がよく見えていた
リッジを振り返る
ハイマツ混じりのフェイス

リッジ上の凹角 12:50

リッジ上の凹角を登りピナクルの林立するリッジまで。40mⅢ。


リッジ上の凹角の登攀

ピナクルの林立するリッジ

13:00 ピナクルの林立するリッジ50mⅣを2ピッチで登った。この辺りで雨粒が当たり出した。そして、鼻の手前で本降り。雷雨となり、雨水がフェイスを流れ出した。Ⅲ、Ⅳ程度ならごまかしながらでも登れるが、Ⅴのフェイスハング越えは無理。フェイスはつるつると滑った。ここで撤退を余儀なくされた。あと30分ほどで鼻を抜けられ、その先のピッチは、グレードがⅡ、Ⅲ程度なので、雨にぬれてもなんとかトップアウトできそうだが。


クレオパトラニードルの基部へ懸垂下降し八ツ峰にスイッチもできそうだが、ルンゼから流水で岩の転がる音が聞こえ、雷鳴が聞こえる。これ以上の登攀は危険と判断し、懸垂下降で下ることにした。支点づくりのロープは4人いるので調達はできる。しかし支点はほとんどがハーケンなので懸垂のリスクは拭えない。
林立するピナクル
鼻が見えてきた