■一の倉沢衝立岩(谷川岳) |
レポート No.972 |
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6月10日 鈴鹿(17:30)〜谷川岳ロープウェイ駅(1:00) |
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プロローグ 梅雨の入り、登攀日の天気予報に気をもまされたが、梅雨間の晴天を射貫くことができた。例年6月は谷川岳を計画に入れている。谷川岳は日本三大岩壁のひとつで、多くのクライマーを魅了してきた。北アルプスの穂高や剣に匹敵する規模の岩壁を擁するが、標高が2000mに満たないため、日帰りでの登攀を可能にしている。今回は人気ルートの衝立岩中央稜に取り付くことができた。登攀自体は易しいが、アルパインクライミングの総合力が求められ、フリーマルチとは一線を画している。 アプローチ まず第一の核心は、鈴鹿から群馬までの移動。高速道路を東名阪、名二環、中央道、長野道、上信越道、関越道と乗り継ぐこと7時間30分、1時に谷川岳ロープウェイ駐車場に到着。4時から行動を開始するので、睡眠時間は3時間、その先に14時間行動が待っている。アルパインクライミングは登攀だけじゃない、アプローチから始まっている。今回は、東京、横須賀、富山、鈴鹿、愛知のメンバーだったので、谷川の場合、東海組がアプローチで不利になる。しかし、富山のおおやさん、仕事が立て込んで時間にゆとりがなく、徹夜で走って、睡眠なしで14時間30分の行動になった。体力、精神力ともにタフでないとやれない。 駐車場〜一の倉沢出合 2013年より通行ができなくなって、この区間が歩きになった。往復でアプローチに2時間がプラスされた。ロープウェイは定期点検だったので、駐車場が利用できないと思っていたが、登山者向けに営業していた。一日500円。トイレと自販機が利用できる。 4時のアラームで目を覚まし、行動開始。準備しているとおおやさんが到着。遅くまで仕事して、富山から徹夜で走って、休みなしで行動開始。大丈夫か?という我々も睡眠時間は2時間半。若けりゃいいが。 1時間の車道歩きで徐々に体が動き始めた。マチガ沢出合いで谷川岳本峰を見ると、登高意欲が刺激されてくる。車道脇では、ヤマツツジが終わりヤグルマソウが見頃になっていた。途中で西黒尾根登山口を通過したが、つくだにさんは今日、この尾根を登るらしい。私はこれで5回目の谷川岳になるが、未だかつて山頂を踏んだことがない。 → つくだにさんのレポート 一の倉沢が、眼前に開けてきた。この光景を見ると寝不足の疲れも忘れてしまう。なにより、天気に恵まれたことがうれしい。 一の倉沢出合〜テールリッジ取付 さて出合いまではいつもの変わらなかったが、ここからが少し違った。例年、出合い付近まで雪渓が残っているが今年はない。ないのは歩きやすくていいのだが、あまりにも雪渓が少ないと、ひょうんぐりの滝を巻く行程が余分になる。入渓するといつもと様子が違っていた。雪渓がない。下部はシュルンドになっていた、ひょうんぐりの滝で雪渓が切れていた。谷川岳の登攀、なぜこの時期を選んでいるか。それはテールリッジまで雪渓がつながろいり容易に取り付けるからだ。 花は、サンカヨウとシラネアオイを期待していたが、今年は雪が少なかったので、すでに花は終わっていた。
ひょうんぐりの滝 左岸から巻けそうだが、不安だったので夏道でいくことにした。この場合、通常50mの高巻きで50mの懸垂が必要だが、雪渓の状況を見て、たくさんの判断で、25mの懸垂で済ませた。6人いるので時間がかかる。この時点ですでに予備の時間を消費し始めている。 懸垂で雪渓に降りてテールリッジに取り付いた。例年より10m近く雪渓が少ないような。取り付きでこの先に不要となるアイゼンとストックをデポした。 テールリッジ さてテールリッジも気が抜けない。岩場3級くらいの登攀が随所にある。フィクスはあるが確保はしていない。今回は岩が乾いていたので、アプローチシューズのフリクションがよく効いた。少しでもぬれているとよく滑るのだが。
中央稜取付 中央稜基部まで登ると、誰もいなかった。当初は凹状岩壁を予定していたが、待ったなしで登れるので中央稜を登攀することにした。右手にダイレクトカンテを見ながら登攀準備をしていると、2年前の登攀がよみがえってきた。 |
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2016-6-11 Copyright (C) 2016 k.kanamaru. All Rights Reserved. |