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■滝谷ドーム中央稜@北穂高岳(北アルプス)
〜〜飛ぶ鳥も通わぬ滝谷へ、降雨のために3ピッチで撤退〜〜

レポート No.747
日時:2013年7月27日〜29日
参加者:隊長、うさぎ

【7月27日】 平湯アカンダナP(6:20)〜上高地バスターミナル(7:10)〜明神(8:11)〜徳沢(9:35)〜横尾(11:26)〜本谷橋(12:45)〜涸沢野営場(14:50)
【7月28日】 涸沢野営場(5:40)〜北穂分岐(9:10)〜縦走路下降点(9:35)〜第3尾根懸垂ポイント(10:00)〜ドーム中央稜取付(10:25)〜1ピッチ目(10:40)〜2ピッチ目(11:35)〜3ピッチ目(12:15)〜撤退懸垂(12:50)〜トラバースルート〜縦走路(13:30)〜北穂高小屋(14:50)
【7月29日】 北穂高小屋(5:50)〜涸沢(7:40)〜テント撤収〜涸沢(8:40)〜本谷橋(9:50)〜横尾(11:00)〜明神(13:25)〜上高地バスターミナル(14:30)

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ドーム中央稜2ピッチ目(X20m) さて2ピッチ目はどのラインを登ったらいいのやら。わからなかったのでトポを見ると「易しいリッジからカンテ左のスラブを登りテラスへ」。やはりカンテだ、取り付いてみる。右側の壁を覗くとピトンが乱打されていた。これは垂壁なので人工かな。核心は最後の短いスラブだろう。リングボルトが打たれているので、壁が濡れているときはA0ができる。


2ピッチ目の登攀

    
カムで支点をとった

     
第3尾根         2ピッチ目を見上げる


第2尾根


2ピッチ目のうさぎの登攀 フレークに乗ると最後は核心のスラブ

   

ドーム中央稜3ピッチ目&撤退 3ピッチ目はガレた岩のリッジでT級40mはいいが、2ピッチ目終了時点で雨が当たりだした。多少の雨ならあと2ピッチだし続行だと決めていたが、3ピッチ目終了時点で本降りとなってしまった。壁を流れる水を見て撤退を決意した。
さて撤退だが、懸垂で取り付きまでもどっても、3尾根のT1への登り返しがある。ピンがなくてもハーケン3枚とカムでなんとかなるが、確かエスケープルートがあったはず。トポを見るとたしかに3ピッチ目終了点からドーム基部のトラバース道(降りてきたルート)に降りられると書いてある。たぶんこのルンゼだと思うが支点がない。なければハーケンがあるので、支点がなければそれを使うつもりで一段下の懸垂しやすいところまでクライムダウンすると、ピトンが3つ打ってあった。ガスで下の様子がわからないが、たぶここだろう。もし間違っていたら登り返しも想定内とした。ロープスリングを通し、捨てロープとし、懸垂の準備。あと2ピッチなのに、後ろ髪を引かれる思いだ。水をたっぷりと吸い込んだロープはやたらと重く感じた。距離がわからないので2本をつなぐことも考えたが、回収が難しくなりそうだし、落石を誘発しそうなので、とりあえず見えている範囲のテラスまで降りてみることにした。ロープをサブザックにしまい懸垂下降。20m懸垂し10mほどクライムダウンすると下降路に合流した。やれやれ、あとは歩いて帰れる。


4ピッチ目、水が壁を流れ出した、撤退を決意

   

稜線  稜線が上がると雨が小降りになっていた。もうあと1時間、雨が持ちこたえてくれれば完登できたのに、と悔やまれたが、撤退も山行の一部。時計を見るとまだ13時30分だ。涸沢まで降りられる時間は充分に残っているが、休日がもう一日とってあり、予備日としてるので、明日の朝天候が良ければ再チャレンジの可能性を残して、予約しておいた北穂高小屋に宿泊することにした。そうなれば時間があるので、ドームの頭に立ち寄ってみることにした。ガスで展望はなかったが、終了点を確認しておきたかった。残念ながら確認はできなかったが。

   
ドームの頭で肩を落とす

    
北穂高岳3106m山頂

北穂高小屋には14時50分に到着した。完登したなら小屋のテラスで、コーヒーでも飲みながら余韻に浸っているだろうが、ガスと雨でそれも叶わず。山頂で記念撮影をして小屋に入った。

北穂高小屋 受付に行くとまずは乾燥室へと案内された。カッパを脱いで冷えた身体を温めながら、登攀具やたっぷりと水分を含んだロープを物干し竿のつり下げた。このまま下山していたら、ずぶ濡れになったまま雪の上のテントで震えていただろう。天気が良ければテントは快適だが、雨になると山小屋のありがたさを実感させられた。

   
左:窓が岩のいい部屋だ   右:天気が良ければすばらしい展望の小屋前のテラス

夕食までに2時間もあるので、布団に横になってごろごろ。うさぎは身体を冷やしてしまったようで、お布団に潜り込んで寒いといっていた。やはり小屋に入って良かったと、改めて思った。この日は天気が悪かったので宿泊客も定員の半分ほどだった。お隣は大阪からのパーティーでお互いの行程を話し合った。

   
北穂高小屋              夕食

夕食はご覧の通りで、お腹がすいていたのでご飯と味噌汁をおかわりした。今シーズンも少し高所に身体が慣れてきたようで、食欲は大いにあった。ちなみにここの標高は3100mで、日本一高いとこにある山小屋だそうだ。本当に山頂直下にあり、歩いて1分もかからないところにある山小屋は他にないだろう。これまでに何度も北穂高岳には足跡をしるしているが、小屋で宿泊するのは始めてだ。売店のおねいさんは以前から愛想がよく気持ちが良かったが、小屋も雰囲気のいいところだった。これまではテント泊中心の山行ばかりだったが、年とともに重い荷物が担げなくなってきているので、これからは山小屋利用が多くなりそうだ。

   
小屋の売店

小屋の掲示板には、ドーム中央稜とクラック尾根の取付方法が掲示されていた。この二つはやはり、人気のアルパインルートのようだ。韓国人の数人パーティーがテントの受付に来たようだ。一昨日、明神から横尾まで前後して歩いたあのグループのようだ。どうやら槍で一泊してから縦走してきたらしい。この雨の中でのテント泊は大変だろう。それにしても小屋は快適だ。トイレを済ませ、20時過ぎに布団に入った。


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2013-7-30Copyright (C) 2013 k.kanamaru. All Rights Reserved.  home