■滝谷ドーム中央稜@北穂高岳(北アルプス) |
レポート No.747 |
【7月27日】 平湯アカンダナP(6:20)〜上高地バスターミナル(7:10)〜明神(8:11)〜徳沢(9:35)〜横尾(11:26)〜本谷橋(12:45)〜涸沢野営場(14:50) |
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まずは北穂へ テントをたたく雨の音で目が覚めた。時計を見ると4時過ぎだ。昨夜は月も出ていたそうだが、テントの外を見てみるとガスが低くたれもめている。雨が止まなければ停滞も考えたが、ドームをやるならとにかく駒を北穂まで進めた方がいいので、雨が小降りになるタイミングを見てテント場を後にした。 南陵ルート さて、北穂までは南稜ルートで3時間の行程だ。何度も歩いているルートだが、これはアプローチにすぎず、滝谷ドーム中央稜のクライミングが本番だ。今回は少しでも軽量化を図ろうと、ロープ2本と登攀具の入るサブザック(PAC MagicMountain)を準備した。自重が600gほどあるので、涸沢までは荷が重くなるが、行動中は軽くてアルパイン用に作られているので使い勝手がよかった。 前後して登った栃木からの若い3人パーティーは東稜をやるとのこと。核心は雪渓をトラバースしルンゼを稜線まで登るところまで、とアドバイスし、お互いの健闘を祈った。出身は四日市らしい。このページを見たら是非とも当サイトの「談話室」に書き込んで下さい。ガスはかかっているが時折、青空が見え隠れしている。八ヶ岳や富士山もよく見えている。予報通り南部の方が天気がいいようだ。風も出てきているので、岩が乾いてくれるとを祈りながら北穂分岐を目指した。 若者グループが私のヘルメットを見て、どこから見えましたかと、話しかけてきた。ヘルメットに「suzuka」と書いておいたので、どうやらそれを見て訪ねたらしい。話をするとどうやら同郷らしく、聞き慣れた町の名前が出てきた。遠くの山で孤軍奮闘する中、同郷者に出合ったことで安心感が生まれてきた。連絡方法を聞くの忘れました。当サイトを見つけたら是非とも「談話室」に書き込んで下さい。 さすがにサブザックとはいえ、登攀具など11キロを背負っていると重い。これ先、厳しいクライミングのために力を温存することも考え、十分に休憩を入れ、ゆっくりしたペースで北穂分岐に到着した。 下降点 さてこれから先の課題は、下降点を見付けること。一般登山道ではないので、もちろん、分岐の案内などない。わかってるのは、「滝谷ドームを巻き、鎖場を通過したところ」ということだけだ。ガスがなく視界があれば探すのは容易だが、ガスで遠望が効かない。このルートは過去に3度ほど歩いていて、だいたいの距離感は残っている。想定通り、鎖場を降りたところの、ガレガレのルンゼがどうやらそうらしい。踏み込んでみると岩がなだれて落石をしてしまった。危険なところだが、少し下ると踏み跡がしっかりとしていた。ドームに沿って下っていく。10分ほど下ったところでケルンを発見。これは間違いないだろう。V級ほどの岩場を2カ所でクライムダウン。心配なら確保した方がいいだろう。
コルから25分ほど下ったところに第3尾根の懸垂ポイントに到着した。何度もネットで見た支点だ。間違いなくここだ。チャレンジアルパインによると懸垂は20mと書いてあったが、実際にはちょうど25mだった。下降距離がわかっていたので、ロープ1本で懸垂下降した。ガスの切れ間から滝谷の全容が見える。ものすごい高度感だ。時間をかけてじっくりと第4尾根を登ってみたいという衝動に駆られた。今回が滝谷の初見だが、わくわくするような課題がいくつかありそうだ。
ドーム中央稜取付 懸垂後ドームに沿って1段上がったところが取付テラス。開始支点はないが、岩にスリングが掛けられていた。見上げると何度もネットで見た1ピッチ目だ。ここで間違いなし。先行パーティはなしで貸し切りのようだ。じっくりと時間を掛けて登攀を楽しみたいところだ。しかしもし、リードが墜落して事故が起こると、うさぎひとりで脱出ができるか。一本のロープを仮固定し、もう一本のロープと私の登攀具を回収し、これだけの道具で降りてきたルートを登り返さなければならない。問題は懸垂したところの登り返しで、ソロクライミングの技術がないと無理だ。あるいは確保無しで、第3尾根のT2からT1を登る。これは危険だ。つまりアルパインでは、エスケープの方法も考えておかなければいけないということ。余談になった。
ドーム中央稜1ピッチ目 さて1ピッチ目だが、チャレンジアルパインでは「凹角の中のクラックからチムニーを抜ける」(W50m)と書かれている。さて実際はどうだろうか。リードする人によってそれぞれ感じ方は違うと思う。 核心はチムニ− どのレポートを見ても核心はチムニーと書いてある。快適にフェースを登っていくと、チムニーに入らざるを得なくなり、ここからが核心だとわかる。壁も立ってきてホールド、スタンスともに乏しくなる。ピンはあるがまず、チムニーに入りバック・アンド・フットで少し身体を上げないとピンがとれない。それがわかっていたので、ザックを降ろしハーネスにスリングでつり下げる。
ピトンにクリップするとひと安心。もう少しずりずり上がるとフェースに回り込めた。窮屈な姿勢はいやだ。さらにチムニーは狭くなりガイド通り、チョックストーンを左から回り込むと、終了点があった。ただここは狭いのでピッチを切りたくないところだ。うさぎに「あとロープ何m」と聞くと、「まだまだある」と答えが返ってきた。「まだまだ」では長さがわからない。間隔ではあと数mは延ばせるそうなので、もう一段上まで登ってみることにした。ところがロープが重い、すでに40mは出ているので当然だが、ランニングの取り方をもう少し工夫すれば良かったと反省。しかし登りはじめているので、行くしかない。強引にロープを引いて安定したテラスでピッチを切ることにした。支点はなかったがカムにジャストサイズのクラックが走っていたので、カム2個で支点を構築。 このピッチはガイド本によるとW級となっていたが、ホールドやスタンスを見落としたのかもしれないが、実際にリードしてみてX級はあったと思った。 さて次はセカンドのうさぎの登攀だ。順調にロープを引いたが、チムニーの所でロープが来なくなった。やはり苦戦しているようだった。
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2013-7-30Copyright (C) 2013 k.kanamaru. All Rights Reserved. home |