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2011年8月13日〜15日 八ツ峰@剱岳(北アルプス)   ホーム

 

八ツ峰@剱岳(北アルプス)8月13日〜15日 No.620 utty、とっちゃん、隊長、うさぎ
〜満を待して臨んだ八ツ峰、天を見方に充実した山行となった〜
8月12日 移動日 鈴鹿(19:00)〜四日市IC(20:15)〜立山(12:40)
8月13日 立山(6:30)〜室堂(8:10)〜別山乗越(11:00)〜剱沢野営場(12:00)
8月14日 剱沢野営場(3:30)〜剣沢小屋(4:00)〜長次郎谷出合(5:07)〜長次郎谷5・6のコル分岐(6:40)〜5・6のコル(7:30)〜6峰Dフェース頭(8:50)〜6峰(Eフェース頭)(9:10)〜7峰懸垂(10:10)〜8峰懸垂(10:40)〜八ツ峰の頭(11:20)〜池の谷乗越(11:50)〜越長次郎の頭(12:20)〜長次郎のコル(13:10)〜(13:40)剱岳(14:10)〜剱御前小屋(17:00)〜剱沢野営場(17:45)
8月15日 剱沢野営場(6:00)〜別山乗越(7:15)〜室堂(10:00)〜立山(11:30)〜鈴鹿(16:50)

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7峰には顕著なピークはなく、リッジ状の狭い岩稜をアップダウンしながら進んでいく。時間がかかるがこれもクライミングの楽しみのひとつだ。先行者が懸垂待ちをしている間が小休止の時間であり、食事の時間でもある。気温はそれほど高くはないが、日射しが強く緊張を強いられる行動がつづいているので、体が水分を欲している。私は自分用に3リットルの水分を準備してきた。14時間行動を考えた計画的な給水が大切だ。 結局すべての水分を使い切ることになった。


7峰をゆく


あんパン食うか! 7峰にて


7峰の懸垂待ち


左:長次郎の頭 右:8峰と八ツ峰の頭


長次郎谷右俣の雪渓の状態

7峰の懸垂 ここまで来ると長次郎谷右股の雪渓の状態が手に取るように確認できる。天候やルート状況によりこのから降りることも考えられるので、つぶさに観察しておいた。さて7峰の下りも懸垂下降だ。ルートガイドには30mの懸垂とあるが,先行パーティの様子を見ていると50mロープでここもぎりぎりまにあいそうだ。ここも問題なく全員が懸垂を終え,狭いコルに降り立つ。 ここでもとっちゃんがロープをさばきながら先陣を切って懸垂し、uttyとうさぎが続く。クライミングで最も気を配らなければならないのが懸垂で、失敗は命に直結している。私がATCのセットを確認しテンションがかかった所でセルフビレイ解除OK。


7峰を懸垂するとっちゃん


7峰の25m懸垂下降


8峰、右手ハイマツの手前のチムニーを登る、このあたりが八ツ峰上半分ハイライトだ

8峰の登攀 さてここからが八ツ峰のハイライトとなる8峰の登攀だ。コルから三の窓側に岩棚を移動してから凹角に沿って登攀する。傾斜が強く,確保した方がいいだろうが,ルートを見上げてみると,スタンスやホールドが豊富なようなので,確保なしで登ることにした。 2級くらいの登攀だが、途中に一部はスタンスに迷う所があり、しっかりとしたハーケンが2つ打たれていた。確保で登る場合、ここをプロテクションにできる。

   
8峰チムニーの登攀


8峰の登攀、チムニーの傾斜はきつい、時間節約のために確保なし


8峰上部の登攀

凹角からリッジへ 傾斜の強い凹角を登り切るとリッジ状の登攀となり、高度感があって快適だ。三の窓側のチンネにはたくさんクライマーが張り付いていた。一度は登ってみたいところだ。


8峰の快適な登攀を楽しむとっちゃん


チンネを登攀するクライマー


チンネを登攀するクライマー


8峰の上部の登攀、utty


8峰に登り着いたutty

8峰にたどり着くと後は、縦走の最後のピークである八ツ峰の頭を残すのみだ。先行パーティーが懸垂の準備に取りかかっているので、様子を見に行く。ここは2段の懸垂だが50mロープ一本で可能だ。距離はそれほどでもないが、一旦、1段目でコルに降りて、岩の上に登り返し、そこから二段目の懸垂がある。2回に分けた方がいいと先発パーティーが言っていたが、その通りであることが後でわかった。途中で傾斜が変わり、方向が変わる懸垂は、やはりむずかしい。 何よりロープの回収で岩の溝にはいるので、かなりの力で引かないと回収できなかった。


8峰の懸垂待ち


コルへの2段のややこしい懸垂

    
さて、ここからの懸垂がややこしい、結果的にはピッチを切った方がよかった
8峰2段目の懸垂、バランスが難しい、それに振られたことにより、ロープが傷ついた


八ツ峰の頭

狭いコル 8峰の懸垂下降待ちをしていると、2つ前を先行し八ツ峰の頭に到着したパーティーから、カメラ落としました、もし見つけたら人って来てくださいと声がかかった。「了解」と答えたが、ひとつ前のパーティが見つけたようだった。うさぎとuttyが緩斜面から急傾斜に移るときの傾斜の変化に対応しきれずに少しバランスを崩したが大丈夫だった。無事に狭いコルの4人が降り立つ。本当に狭いところなので、パーティ構成が問題になるのでは。


長次郎の頭

八ツ峰の頭への登攀 さてここから八ツ峰の頭への登りにかかるが、ガリーに取り付く前に、30センチほどの岩棚を3メートルほど移動する必要がある。もちろん墜落は許されない。スタンスはしっかりとしているが、ホールドが小さい。落ち着いて探すとしっかりとしたホールドが見つかる。 ガリーの傾斜は強いが、しっかりとしたホールドがあるので、確保なしで安心して気持ちよく登ることができた。


コルからは、長次郎側の狭いバンドを渡ってからガリーに入る、注意


長次郎谷右俣の上部の雪渓の状態

   
8峰のコルからの登攀


八ツ峰の頭への登攀


8峰からの難しい懸垂を振り返る


コルから8峰の頭への登攀途中のuttyととっちゃん


八ツ峰への快適な登攀を楽しむうさぎ


三の窓の頭


クレオパトラニードル


8峰からの懸垂、2段の懸垂でコルへ下る、難しい懸垂になった

八ツ峰の頭はこれまでには見られなかった広いピークだ。展望もよく、お隣の三の窓の頭がやクレオパトラニードルが間近に見える。時間を割いて展望を楽しむのもいいだろうが、時間的なゆとりがないのと、懸垂の順番を1パーティ飛ばすと、それだけ時間がかかってしまう。 ここも給水だけの休憩で懸垂に取りかかった。事前の調査では、40mの懸垂になり50mロープが2本必要だが、ガレ場の懸垂になり、懸垂時やロープの回収時に落石を誘発する恐れがある。懸垂のルートも一つとは限らないようだ。クライムダウンと組み合わせて、短い懸垂をした方が落石を起こさないようだ。目につくのはしっかりとした支点で、先行パーティもそこから懸垂をしている。まずはここから20mの懸垂で中間テラスに降り、そこからどうするか判断することにした。しかし、距離を稼ごうとテラスの下のガリーの上部まで降りてしまい、そこのガリーのクライムダウンになってしまった。ここのがりーは最悪で、落石せずに降りるのは困難な状況になった。薄氷を踏む思い出クライムダウンしたが落石はさけられず、「ラク」のコールを飛んだ。この下は北方稜線の通路になっているので、落石は禁物だ。うさぎを先行させ、池の谷ガリーに登山者がいないか確認させた。それよりもここで初めてロープ回収に失敗し、登り返そうかと思ったが、後続パーティに助けてもらった。ルート選択をミスったことは、長次郎の頭から確認できた。テラスからガリーを下りず、少し西の岩壁を懸垂で降りるべきだった。とにかく全員無事に八ツ峰の縦走が完了し、ほっとひと息ついた。


池の谷乗越への懸垂下降を待つうさぎ


ロープを準備する

  
池の谷乗越への懸垂下降の中間地点、最悪のコースを降りてしまった


池の谷乗越、右の雪渓が長次郎谷右俣


8峰のコルから池の谷乗越までは巻道があるようだ、写真をよく見ると通過している人が写っている


8峰のコルから見上げる長次郎の頭、中央ガリーの右の岩場を登路に選んだ
右は八ツ峰の頭の基部で、細いバンドを渡りガリーに入る


八ツ峰上半部


一番左はチンネ、八ツ峰の頭(右)と三の窓の頭(左)


先ほど下降した八ツ峰の頭(右)と三の窓の頭(左)

長次郎の頭 さて、ここで八ツ峰縦走は終わったが、これからまだ、長次郎の頭を乗り越え、長次郎のコルから本峰への登りが残っている。 池の谷乗越から本峰までの所要時間は1時間30分だ。登山道とはいえ険路には間違いない。まずは長次郎の頭への登りだが、ガリーは落石の巣になっている。なのでガリー右手のフェースを登路に選んだ。フリクションもよく岩もしっかりとしているので、思った以上に快適に登ることができた。長次郎の頭も展望の良いところだった。


長次郎の頭を通過する先行パーティー


長次郎の頭の通過

長次郎の頭の通過はいくつかあるようだがわれわれは、長次郎側をトラバースし最後のクライムダウンの難しいところは懸垂下降した。逆ルートをとるとフリーで登れると思う。雑誌を見るとロープ確保が必要な場所があるようだが、特に気にはならなかった。 これが今日の5回目の懸垂下降になったが、1回に4人が懸垂下降し、岩角ですれて、ロープはぼろぼろになっていた。この山行でこのロープは廃棄となった。


長次郎のコルから見る八ツ峰


長次郎のコルから見る源次郎尾根


長次郎のコルへの懸垂、ここで雪渓を登ってきた登山者と合流 とっちゃん撮影

   
長次郎のコルへの懸垂下降 左:うさぎ 右:utty

長次郎のコルまで来ると、雪渓を登ってきた登山者を見かけるようになる。装備を見る限りハイキング程度の装備のようだ。長次郎雪渓は映画「点の記」で脚光を浴び、剱岳の登頂ルートに選ぶグループが多いと聞く。長次郎のコルから山頂までは30分の登りだが、ガレているのでフェースを選んで登れば問題ないだろう。しかし、長次郎雪渓を登ってきたグループは、踏み跡をたどりながら登るので落石をしながら登っていった。ここは登山道とはいえ、ルートワインドが必要なコースだ。もう少し落石せずに登るルートを考えてもらいたいが、どうだろうか。


長次郎のコルから本峰への登り

長次郎のコルから剣岳山頂までは30分の登り。先ほど書いたように踏み跡をたどると落石が多いので,岩場のフェースを拾いながら登ると快適だ。長次郎谷から登ってきたパーティーが落石しながら登っていった。本峰は手の届くところにあり,山のピークがひとつの目標なので力が入る。3000mの高所のフェースを自由に登って聞くは快感だ。


長次郎のコル(長次郎雪渓左俣の源頭部)


長次郎の頭を振り返る

剱岳山頂 傾斜が緩むと見慣れた山頂が目の前に現れた。登頂した嬉しさよりも,無事に八ツ峰を縦走できた達成感と安堵感に満たされた。時間が遅いので登山者が少なく、先ほど源次郎尾根を登ってきた学生グループが山頂を賑わしていた。時計を見ると13時40分になっていたが、時間に若干ゆとりがあるので、30分ほど休憩し下山することにした。この時点で行動時間が10時間を超えており、体力的にも疲れがでてくるころだ。ここからは一般登山道だが、集中力を切らさないように心がけながら山頂を後にした。


剱岳山頂にて記念撮影、しかしまだこれから帰らねば

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