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2010年8月13日-15日 白峰三山(南アルプス)

 

白峰三山(南アルプス)2010年8月13日-15日 No.556 隊長、うさぎ
〜台風一過を狙った白峰三山だったが〜
【8月13日】 芦安(5:10)〜広河原(6:15)〜二股(9:00)〜小太郎尾根コース〜小太郎分岐(11:05)〜(11:45)北岳肩の小屋(12:10)〜(12:50)北岳3192.4m(13:10)〜北岳山荘野営場(15:00)
【8月14日】 北岳山荘野営場(5:00)〜中白根山3055m(?)〜間ノ岳3189.3m(?)〜野鳥小屋(?)〜西農鳥岳3050m(?)〜農鳥岳3025.9m(11:15)〜大門沢下降点(12:19)〜大門沢小屋(15:10)
【8月15日】  大門沢小屋(6:05)〜休憩小屋〜(8:40)第一発電所バス停(9:10)〜広河原バス停(10:20)〜芦安(11:25)〜自宅(17:00)

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【第二日目 8月14日】

暴風雨の縦走路 今回メインとなる縦走路だが、北岳山荘の野営地から農鳥までは、暴風雨のためにカメラが使えず写真がない。テントをばたつかせた風は朝になっても収まる気配がなかった。3時半から食事を準備し、味噌汁で暖まり出発の準備完了。雨はあまり降っていなかったが、悪天候下のテント撤収は慣れているものの、いやなものだ。テント以外のものをパッキングし、最後にテントをたたむ。ほとんどのテントはまだ静まりかえっていた。悪天候のために様子を伺って入るようだった。小屋裏のテント場から縦走路に出ると思った以上に風が強い。ぽつぽつと雨が当たるが、気温がそれほど低くないので、とりあえず間の岳まで行くことにした。視界は10mもない。昨年も確か、ガスの中を間の岳に向かったことを思い出す。中白根で若者4人グループがどうやら引き返すようだ。昨年の表銀座の暴風雨縦走に比べれば、まだまだ大丈夫だと判断した。

間ノ岳が近づくと、山頂ピストンの人と行き交うようになる。展望はなくてもピークを踏んでおきたい気持ちはよく分かる。ちなみに「間ノ岳」の点名だが、三等三角点で、「相ノ岳」(あいのだけ)となっている。選点は北岳と同じで明治37年6月19日。テント装備のグループは、熊の平からの縦走だった。天候の情報交換をする。山頂に近づくにつれますます風雨が激しくなってきた。間の岳山頂では何人かの登山者がいたが、農鳥小屋への下りになると、ほとんど登山者と会わなくなった。これを降れば農鳥小屋があるので安心だ。ほぼコースタイムで農鳥小屋に到着できた。テントに待避しようと思い設営を試みるが強風の為に設営できない。その間に後続のグループが休憩のために小屋に入ったようだ。われわれも入ろうと思ったが、満員御礼で入れないので、風裏を探し休憩する。近くに風が避けられそうなテントサイトを見つけたが、体力的にもまだゆとりがあるので縦走を継続することにした。余談だが、日本百名山では間ノ岳を「甲斐国志」から引用している。「南北に連なりて三峰あり、・・・その北方最も高き者を指して、今専ずから白峰と称す、・・・中峰を間ノ岳あるいは中岳と称す、・・・・その峰下に、五月になりて雪漸く融けて鳥の形をなす所あり、・・・土人見て農耕とす、故に農鳥山と呼ぶ。その南を別当代(べっとうしろ)とい云う。皆一脈の別峰にして、総て白峰なり。

西農鳥岳への登りにさしかかるとますまず風雨が激しくなり、台風姿勢を何度も強いられる。西農鳥から農鳥岳の間がもっとも厳しかった。ガスで視界が悪く、強風に備えるためにアンザイレンで対応した。そして、出発から6時間でなんとか農鳥岳に到着できた。ここまで来れば安心だ。やれやれ。山頂東側は風裏になっていて、ここで昼食休憩とした。農鳥小屋を目指す若い男女が登ってきた。雨が止み、今日初めてカメラを使うことができた。


農鳥岳

さて農鳥岳から大門沢降下点までは40分の下りだ。風裏に入っているので少し花を見るゆとりが出てきた。4人グループが山頂手前に昼食をとっていた。これから農鳥小屋を目指すようなので、稜線の状況を報告した。やがてガスの中から黄色い鉄塔がすっと現れ、降下点への到着を知った。


チングルマ


チシマギキョウ キキョウ科


ミヤマシシウド セリ科


チングルマ バラ科


アオノツガザクラ ツツジ科


ウサギギク キク科


タカネヤハズハハコ キク科

大門沢下降点に到着。やれやれ、これで風の恐怖から逃れられる。ここの黄色の鉄塔は特異な形をしており、明らかに普通の標識とは違い、遠くからでもよく目立つ。写真でも分かるように鐘が吊してあり、ガスなどに巻かれたときに役立つ時があるかも知れない。プレートには遭難者に係わることが書かれている。遭難者の父と母が設置したものらしい。積雪期の遭難の原因の多くは下降点の見誤りだと思う。確か北アルプスの薬師岳の学生の遭難も、方向を見誤り、間違った尾根を降った事が原因であったようだ。二度とこのようなことが無いように、ここに設置されたものらしい。歳月は事故の記録を消し去っていくが、この塔が朽ちるまでは、登山者を見守り続けることだろう。


大門沢の下降点


エゾシオガマ ゴマノハグサ科


クルマユリ ユリ科


タカネグンナイフウロ フウロソウ科


ヤマブキショウマ ユキノシタ科

大門沢小屋 降下点から降り始めると、今までの暴風雨が嘘のような静けさとなった。ハイマツ帯から下り始め、草付きの斜面では、シモツケソウ、タカネグンナイフウロ、シシウド、タカネヤハズハハコ、クルマユリ、ハクサンイチゲ、アオノツガザクラ、チングルマなどの花がたくさん咲いていた。晴れた日に歩きたいものだ。ハイマツ帯からダケカンバ帯、そしてシラビソ帯へと降っていく。大門沢小屋までの標高差は約1000mあり、尾根コースであっても、沢を歩くように石を拾いながら降る難路だ。雨に濡れた石は滑りやすく、注意が必要で、足の疲労も重なって精神的なストレスが蓄積していった。標高が下がるにつれ傾斜は緩んでくるものの、なかなか小屋に到着しない。手作りの丸太橋を二つ渡り、やっとの事で大門沢小屋に到着した。温かみのある落ち着いた雰囲気の山小屋で、ご主人が出迎えてくれた。従業員の若い女性と二人で切り盛りしているようだ。農鳥岳で追い越していった単独男性は、すでに小屋に到着しており、ここで宿泊するようだ。野営場にはすでに4基のテントが設営されているものの、空きのスペースはまだあるので、好みの場所にテントを設営できた。雨は降ったり止んだりで、給水やらトイレは、雨の止むの見計らって行く。温水シャワーが500円で利用できるようだが、軽食を済ませ横になると、瞼が閉じてしまい、19時過ぎまで休んだので、今回はパスした。休んだおかげで少し元気が戻り、夕食とした。メニューはα米赤飯、ポテトサラダ、キャベツシーチキン和え、味噌汁、パン、コーヒーだ。標高が下がったので食欲が回復。おいしく食べることができた。雨は降ったり止んだりだが、風がなのでぐっすりと4時過ぎまで休むことができた。

 

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