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2006年2月18日19日 御池岳、鈴北岳(鈴鹿)

 

2006年2月18日19日 御池岳、鈴北岳(鈴鹿)No.355 こうたろうさん、隊長

 天気よし 青いキャンバス 雪の花 ザクザク歩く テーブルランド

●2月18日(土)
山口白船峠登山口(9:00?)〜坂本谷分岐(?)〜(12:07)白船峠(12:30)〜真の谷(12:50)〜テーブルランドP1194付近(14:15)〜東のボタンブチ周辺の散策〜P1241南東にテント設営(16:00?)
●2月19日(日)
テント設営地〜朝の散策〜テント設営地出発(8:40)〜丸山(9:35)〜西のボタンブチ〜夕日のテラス〜鈴北岳〜(11:05)御池丸山(11:45)〜カタクリ峠(12:24)〜冷川岳(13:05)〜丸尾〜山口白船峠登山口(15:15)

恒例の冬期御池岳テント山行に出かけて。隊長の気ままか突然の計画に参加者は2名と、ちょっと寂しい山行となったが、後天に恵まれて存分に御池岳を味わうことができた。

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 二日分の食材を買い出し帰宅後、22時過ぎに準備に取りかかった。じっくりと装備を準備する時間がないので、前回の台高テント泊のザックをベースに必要なもの気がついたものをザックに詰め込む。冬場は、ヤッケ、アイゼン、スノーシュー、衣類、燃料などが、夏場のテント山行よりもかさむことになるので、極力余分なものは持ちたくないが、あわただしく準備したので余分なものが多いように思う。冬場のテント山行で欠かすことのできないアイテムさえ忘れなければ、何とか凌げるものだと楽観的に考え床についた。


 6時の目覚まし反応はしたが、また少し眠ったようだ。おっといけない、あわてて起きあがり車の飛び込む。コンビニでパン類を仕入れ、待ち合わせの藤原パーキングに待ち合わせの時刻ぴったりに到着すると、すでにこうたろうさんが到着していた。天気予報によれば第一日目の土曜日は晴天、二日目の日曜日が午後から曇りのようだが、山の天気、とりわけ御池岳の天候は予報通りにはならないことが多い。そのまま登山口の浄水場まで車を進める。すでに何台かの車が停まっていたが、なんとか2台を停める。坂本からの入山ができなくなってからは、ここ木和田尾を利用する登山者が多くなり、ここの駐車スペースがもう少しほしくなってきている。


木和田尾の鉄塔


 気温が下がっているのでアイゼンは必要だと思うが、問題はスノーシューを持参するかどうかが問題になる。「いらないんじゃないか」とこうたろうさん、しかしなーと思案したけっか、持参することになった。この時期雪が固まっていることが予測できるが、荷が重いので必要と判断したが、結果は全く使わなかった。スノーシューをザックにくくりつけて、ザックを背負う。重い。ジャガイモ、タマネギなどの食材が丸ごと持ってきたことを少し反省する。夏のアルプス1泊で、ザックの重さ(カメラ別)を約16キロくらいに押さえるが、今回は冬装備のために計測はしてないが19キロは超えているだろう。出発の時はいつも不安なことが多いので、まずザックの重さに過敏になりやすい。歩き始めれば、普段から税金を支払っていることに気づかないように、こんなものだと思ってしまう。気温が低いので雪がよく固まっているのがありがたい。1時間もするとザックが体になじみ、登ることに体が観念して文句も言わずに服従するよだ。展望のよい鉄塔で一息入れる。予報通り青空が広がっている。これなら早くテーブルランドに乗りたいという衝動に駆られるが、まだまだこれから登りがたくさん待っている。坂本分岐をすぎたあたりから、がちがちに凍結した雪面が滑りやすくなる。峠の下まではトラバースが多いが、アイゼンをつけずに進む。峠の下でアイゼンを装着し、急登をしのぐ。2週間前はここで難儀したが、今日はよく雪がしまっていて、アイゼンが効果的だ。ぐんぐん高度を上げて峠に到着した。

 休憩を入れて約3時間で白船峠に到着した。荷が軽く調子がいいと、約2時間で峠まできたこともあるが、テント装備で時間にゆとりがあるので、こんなものだろう。登山口で何台か車が止まっていたが、皆さんどこへいったのだろうか。それよりも我々がこれからどうするか、策を練る必要がある。丸山から奥の平を目指すのなら、稜線を天ケ平に向った方がいいが、奥ノ平が先なら真の谷からの直登がいいだろう。直登なら最短コースでテーブルランドに乗れるが、この場合は150M降下して300Mを直登することになる。地形図を広げ少しでも楽な方法を考えたが、姑息ともいえるコースは破棄し、メリハリのある一直線のコースを行くことにする。軽く昼をすませていると、浄水場の所で出発が同じだった単独女性が稜線を歩いてきた。どうやら丸尾のルートの取り付きがわからずに、冷川谷を登ってきたようだ。わかっていて登るのと、知らずに闇雲に登るのとでは、気分的にリスクの感じ方は違うだろうが、少しは冒険心を刺激されて気分がハイになったのかもしれない。


真の谷

白船峠から真の谷まで一気に下る。雪がクッションになるので、荷が重くても調子よく降下できる。あっという間に真の谷に降りた。さてここからだ、歩幅を意識的に短くし、身体にかかるであろう負荷に備える。胸を突く急登が始まる。フリクションを効かせ次の一歩を踏み出す。体の循環器系統がフル稼働状態になる。標高差300Mはアルプス山行ならその日の一つのパートのすぎないが、されど300Mだ。100Mを20分で稼げるとすれば、所要時間にするとたかが1時間だが、ここががんばりどころだ。乳酸が着実に筋肉に蓄積されていくにつれ、筋肉の反応が鈍くなっていく。こうたろうさんがめがねを落としたようだ。振り返ると枯れ枝が斜面を滑り落ちていったのが見えたが、あれはこうたろうさんのめがねだったようだ。凍結した雪面はストップが効かない。金属製の眼鏡は凍結して雪面に弾んで、斜面を落ちていった。


真の谷

 急坂の凍てついた雪面にはアイゼンが効果的だ。無積雪期の斜面を滑りながら登るよりもロスが少ない。20分で100mの標高差を稼ぐ。日帰りの装備ならそれほどきつくはないが、冬のテント装備を担いでいるので、足腰にかなりの負担がかかり、10m登っては肩で息を整える。何度も高度計を覗き込むが、なかなか数字が上がらない。白い壁にとりついてから1時間ほどすると全面が開けてきた。高度計を見ると1100mを越えている。もうすぐテーブルランドに上がれそうだ。


P 1194付近の樹氷

 スノーシューをザックにくくりつけてきたが、どうやら必要なさそうだ。むしろがちがち凍結した雪面にはアイゼンの方が効果的だ。とりあえずはザックをデポし、東のボタンブチ辺りの散策に出かける。待望の青空が広がり樹氷が映える。広大なテーブルランドを青空のあるうちに散策したいが、どこから手をつけたらいいのか迷ってしまう。東のボタンブチに立つ。いつもの光景が広がる。山頂部の積雪はまだまだ残っているが、尾根の部分は茶色く地肌が見え始めている。積雪期から残雪期への季節の移り変わりが感じられる。高気圧に覆われ、しかも気温が低いので、空気の透明度が高く、山々の輪郭がくっきりとしている。ボタンブチに腰をおろし、テント山行が生み出すゆとりの時間を有効に使いたいところだが、気持ちがはやりどんどんと先へ進んでしまう。蒼のドリーネや奥ノ平など、青空があるうちに巡りたかったが、ドリーネに向かう途中から山頂部をガスが流れ始め、見る間に青空が消えていった。


東のボタンブチ付近から藤原岳をのぞむ


 ザックをデポした地点に戻り一息入れる。さて、今夜のねぐらを探さねばならない。この季節は水の確保の心配がいらないので、風さえ避けられれば見晴らしのいい平地がすべて候補地になる。P1241周辺で適地を探すが、平地がなかなか見つからない。ピークの南東側の平坦地に野営地を決める。風を避けたかったが、どこに場所を移しても風が抜けていくところばかりだ。昨年、アルプスの稜線で風にあおられ設営に苦労したことを思い出す。ポールを入れて立ち上げるところが大変だ。雪面が凍結しているのでペグでしっかりと固定ができた。風上側の綱を先に固定し立ち上げ、重しにザックを先に中に入れると安定する。とりあえずテントの中に入り居ごごちを確かめる。雪面がしっかりとしているので、ごつごつとしたアルプスのテント指定地よりも快適だ。さて、食事だが風があるので外では無理だと判断し、私のテントで夕食にすることにした。

 


テーブルランドの背景にはやはり青空がほしい


奥の平


ボタン岩

 2人用のテントなので大人二人が何とか入れる。メニューはちゃんこ鍋。打ち合わせをしたわけでもないが、いつも鍋物になっている。持ってきた食材を何でも入れられる点で、調理方法も単純だ。二人とも野菜をたくさん持ってきているので、贅沢な食事となった。食事が終わり外を見ると、すでに夜のとばりがおりていた。時計を見るとまだ19時だが、ラジオも本も持ってこなかったので、シュラフの中に潜り込む。気が付くと12時を過ぎたところだった。トイレにテントを出ると、おぼろ月がテーブルランドを照らしていた。風もなく穏やかな夜なので、P1241東方のピークまで登ってみることにした。日帰りの山行ならこの時間にこんな所を歩かないだろうなと考えると、なんだか不思議な気持ちになる。このあたりがテント山行の醍醐味かもしれない。


夕暮れのテーブルらんど(背景は雨乞と綿向)


夕暮れ時の御在所、雨乞岳、綿向山


夕暮れのテーブルランド

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