2023年7月31日〜8月2日 No.1520
北アルプス剱岳八ツ峰の登攀
【行程・登山者】
【7月31日】
鈴鹿3:00〜8:00立山駅10:20〜室堂11:20〜剱沢野営場15:30
【8月1日】
剱沢野営場3:00〜長次郎谷出合4:10〜6:45八ツ峰6峰Cフェイス取付7:00〜6峰9:30〜7峰〜8峰11:20〜池の谷乗越11:50〜剱岳13:30〜剣山荘〜剱沢野営場17:30
【8月2日】
剱沢野営場8:30〜12:40室堂12:00〜立山13:10〜立山国際ホテル〜食堂まんだら〜鈴鹿
【撮影機材】SONY ZV-1 DJI Action3 GoPro9
YouTube
前編 https://youtu.be/SZ1-JdHZkGU
後編 https://youtu.be/VvTPUV99kIQ
【概要】
今年の夏は天候が、比較的安定している。先週に引き続き混種は、北アルプスの剱岳の計画を立てた。八ツ峰は剱岳の人気バリエーションルートで、今回が5度目となった。これまでも天候を選んでアタックしているが、なかなか天候に恵まれなかった。そして成否のかぎを握るのが、岩壁へのアプローチに使う長次郎雪渓の状態だ。今年は積雪が少なく、7月下旬なのに寸断されている。剱沢の登山研修所の情報を聞いて決行を決めた。5>
剱沢雪渓〜長次郎雪渓
全行程は約14時間と見込んでいた。逆算して15:00に剱沢野営場を出発した。今年は雪が少なかったので長次郎雪渓が核心になりそうだ。昨日、登山研修所のスタッフから情報を入れた。雪渓は寸断されているけど、巻けばなんとか通過できるでしょうとのことだった。通常通りの時間では行かないことが容易に予想された。雪渓が通過できないときは、本峰南壁と別山の岩場をやる予定だったが、長次郎雪渓がなんとか通過できると言うことで八ツ峰縦走を決めた。5>
1時間強で長次郎谷出合に到着した。ヘッデンの明かりに雪渓の大きな穴が浮かび上がった。情報通りだ。ここまでの剱沢の雪渓はしっかりとしていて予定通りに下降できた。いきなり雪渓の穴の巻きから始まる。前途多難だ。


長次郎谷出合
出合の穴を突破すると、クレパスはあちらこちらに走っているが、またぎながら登っていくことができた。5>


長次郎雪渓 最狭部
問題は最狭部の通過で、大きなシュルンドが開いていた。どちらからでも巻けそうだが、岩壁に移るときが怖い。1チームは右岸から大きく巻いた。我々は左岸から巻くが厳しかった。シュルンドに落ちたら脱出が難しい。5>


長次郎谷右又
最狭部を通過すると、雪渓が広くなりどこでも歩ける。やがて正面に6峰フェイスが見えている。5>
長次郎右又の熊の岩付近の雪渓がつながっている。池の谷乗越直下で寸断されている。この季節、これだけ雪が少ないのは何年かぶりだと思う。








6峰Cフェイス取付
これまで何度も登っているが、なかなか天候に恵まれなかった。今日こそはと念じて登攀開始。5>
八峰6峰フェイス
チャレンジアルパインの小見出しは、「よりどりみどり。快適なフェイスのショートルートを登る」その通りで今回、撮影のために、併走して同じ登攀した。登られているのはあa、b、c、dフェイス。一昨年dフェイスを登ろうとしたが、シュルンドが開き取付にいけなかった。cフェイスへの移動に難儀した記憶がよみがえる。今回はcフェイス決め打ち。積雪が少ないが今回もdフェイス取付はシュルンドがあった。


6峰Cフェイス
6峰フェイスと中だ一番大きく明るい。2パーティーで併走して登った。剱稜会ルートの登攀をRCCルートから撮影した。4ピッチ目リッジ手前で合流した。5>
通常の1ピッチ目は、スラブからバンド凹角リッジのテラスへ。2ピッチ目は、凹角からフェイスハイマツ。3ピッチ目はスラブ上フェイスからリッジへ。4ピッチ目は、リッジのトラバース。5ピッチ目は、優しいリッジからCの頭。だが、今回は、2チームが干渉しないように適度にピッチを切った。





一羽の猛禽類
青空に向かって登っていると、一羽の猛禽類が舞った。伊吹山で今年、幼くして短い命をまっとうしたイヌワシの子ニーナを思い出した。巣立ち直前に餌不足で巣立ちが出来なかった。伊吹山の大空を親鷲と一緒に飛びたかったろうに。毎日、ライブ配信でニーナの成長を見守ってきた。そんな事を思うと、涙があふれてきた。5>
あの猛禽は、おそらくチョウゲンボウだと思う。先週、南アルプス北岳バットレスの岩壁でイワヒバリを捕獲しようとするチョウゲンボウを見た。チョウゲンボウは冬、農耕地でよく見かけるハヤブサ科の小型の猛禽類だ。暑い夏、涼しいところに移動して生活できる知恵があるのだろうか。

