2022年12月28日29日30日No.1483

南アルプス冬の聖岳に登る

【行程・登山者】

【12月28日】鈴鹿4:00〜長野県飯田市芝沢ゲート前駐車場712m8:30〜易老渡880m10:10〜便ヶ島970m10:45〜西沢渡1100m12:10〜大木の広場1800m15:30〜苔平2030m(ビバーク)16:30
【12月29日】苔平2030m6:20〜薊畑分岐2400m8:20〜小聖岳2662m11:00〜聖岳3013m13:10〜小聖岳14:30〜薊畑分岐15:45〜苔平16:45 気象状況 風速25m 気温-13度
【12月30日】苔平2030m7:30〜大木の広場1800m7:50〜10:00西沢渡1100mm10:10〜11:00便ヶ島970m11:10〜易老渡11:40〜芝沢ゲート712m13:15
 歩行距離 29.5km 累積登り2767m
【撮影機材】OLYMPUS EM-5mark3 M.ZUIKO ED12-200mm GoPro9 DJI action3
レポート中で縦横比の16:9はアクションカメラ動画からの切り出し画像

YouTube 前編https://youtu.be/uLJPkNTFeSM
YouTube 後編https://youtu.be/LhW0oWcOZZo

【概要】

2022年度登り納めは南アルプス聖岳。今年の2月、芝沢ゲートの手前で積雪状況から山域の変更をした経緯がある。今年の冬のアルプスは2月のリベンジで聖岳と決めていた。日程的にこの3日間となった。できれば1泊でやりたいが、冬の3000m峰は高齢者にとっては厳しい。最初から予備日を使うつもりでチャレンジした。気になったのは登頂日の気象条件で、3日間とも晴れだが、山頂の風速が25m予報だった。薊畑から小聖までの積雪も気になった。不安要素はつきないが、チャレンジすることに意義がある。

アプローチ

前回(今年の2月)は飯田市で前泊し万善の体制で望んだが、積雪林道敗退に終わった。今回は前泊の日程が組めなかったので、鈴鹿を4時出発の行程を組んだ。下栗の里から見る聖岳が美しかった。これからあの山に登るのだ。左に見えるのは兎岳。来年の干支の山だ。予定通り8時過ぎに芝沢ゲートに到着できた。積雪はほとんどないので、なんとか行けそうだ。駐車場には数台の車が駐められていた。

芝沢ゲート712m

準備をして8時30分にゲートを出発した。この時間の出発だと、薊畑2400mまでは厳しい。日没時間を考えると17時くらいがタイムリミットだ。ヘッデンつけてまで登りたくないので、おそらくは苔平2000mが限界かなと思いつつ出発した。冬装備のザックは重い。
日本のマチュピチュ 下栗のから見る 兎岳 聖岳
下栗の里
カリン

 

登山者駐車場は数台。昨年の冬季、光岳に行ったときは我々の車だけだったので不安になったが、今回は、何人かが入山しているようだ。昨年もそうだったが、作業車が2台ゲートを入っていった。さて、長い林道歩きが始まる。積雪は少しあり、路面が凍結しているのでスリップ注意だ。遠山川の左岸を進む。きれいな渓流だ、カワガラスが鳴いているので見ると、餌を捕食中だった。渓流の虫類を食べる、上流域で見られる野鳥だ。遠山川は聖岳を水源とする川で天竜川に合流し太平洋に流れる。
芝沢ゲート出発 8:30
遠山川にカワガラス
凍結しているスリップ注意

野鳥が活発

長い林道歩きだが、渓流や野鳥を見ていると、重いザックのことを忘れさせてくれる。際ほど、渓流のカラス、カワガラスに会えた。今度は、カケスが騒ぎ出した。独特の多き案鳴き声をするので直ぐにカケスとわかる。ただし警戒心の強い野鳥でなかなか近くで会う撮らせてくれない。長いレンズは持ってきていないのでこれが限界だった。

カケス

林道の標高が800m前後なので、鈴鹿の山地で見られる鳥がこの林道で見られる。他に、ヤマガラとエナガ、コガラが所々で見られた。
カケススズメ目カラス科 からだが茶色で頭が白い、翼のワンポイントの青色が特徴

易老渡 標高880m

昨年の冬季光岳を思い出した。ここから易老岳までが大変だった。今回はさらに奥の西沢渡を目指す。数年前まで冬季以外は、便ヶ島まだ車で入ることができた。聖岳にはこのルートで夏、2度登っているが、この林道歩きがなかったので随分楽だった。


日本アルプスの冬季登山は、アプローチが課題になることが多いが、聖岳も例に漏れず。林道を進むと

便ヶ島 970m

便ヶ島まで2時間かかっている。渓流や野鳥を撮影したりしているので余計に時間がかかるが、ほぼコースタイムのようだ。便ヶ島で一息入れ、次のポイント西沢渡に向かった。途中、ヤマガラとオオフズクが撮影できたのが嬉しかった。とくにオオフズクは滅多に撮れない。こちらをじっと見ていたので、しばらくお付き合いした。


だらだらと長い林道歩きだが、野鳥たちが相手してくれて楽しむことができた。さて、登山はここからが本番だ。
聖光小屋
フクロウ オオフズク
ヤマガラ

西沢渡 1100m

ほぼ予定通り西沢渡に到着した。ここのめいぶつは手動のゴンドラだ。少し上流の堰堤下の木橋があるので、それを利用すればゴンドラを使わなくて沢を渡れるが、長谷川さん一度は経験しておかないと話もできないということで、利用してみた。面白いが、ロープを引くのが大変だ。男性の大人一人なら大変疲れるだろう。ここまで、遠山森林鉄道が通っていたようだ。登山者は今、森林鉄道の軌道を利用している。
二人で交代しながらロープを引いた
対岸の廃屋

大木の広場 1800m

さてここからが本格的な登山だ。途中、チェックポイントになる大木の広場や苔平はあるが、稜線の薊畑まではひたすらの登りだ。1泊2日でやりたいなら、初日に薊畑まで是が非でも登りたいが、2泊3日ならそれほど無理をする必要もない。この先の積雪状況がつかめないので、とにかく行けるところまで行くことにした。

苔平2000mでビバーク

大木の広場を過ぎると陽が傾きだした。時間との競争だが、これ以上ペースを上げるのは無理だ。当初の予想通り、苔平で日没。ヘッデンをつけてまで薊畑を目指したくはないので、気持ちをすっぱりと2泊3日に切り替え、苔平をベースにすることにした。積雪は数十センチあった。雪をならしテントを設営した。テントに入る頃にはすっかり暗くなっていた。水作りと食事が大仕事だ。明日の行程を頭に描きながら、シュラフに潜り込んだ。やはり気になるのは、積雪ラッセルと風の強さだ。