2021年12月22日23日 No.1406

南アルプス冬の農鳥岳に登る Page1

【行程・登山者】

【12月21日】鈴鹿〜甲府
【12月22日】JR甲府7:40〜奈良田P10:15〜奈良田第一発電所866m10:30〜森山橋1030m11:15〜早川水系発電所取水口11:40〜八丁沢〜14:40大門沢小屋1700m15:10〜ビバーク地点2170m17:30 7h20m 9.4km +1530 -200m
【12月23日】ビバーク地点3:35〜大門沢下降点2828m8:20〜10:05農鳥岳3026m10:15〜大門沢下降点11:00〜ビバーク地点〜14:05大門沢小屋14:20〜16:45森山橋16:55〜大門沢登山口17:50 14h15m 14.5km +1051m -2395m
【撮影機材】OLYMPUS EM5mark3 M.ZUIKO ED12-200mm EM1mark2 M.ZUIKO12-100mm f4 GoPro9 ×2
YouTube
前編 https://youtu.be/9vByyC_V_2w
後編 https://youtu.be/Oyb8Ol8Ow34

【概要】

冬の日本アルプス登山は厳しい。登山の難易度が増し、容易に登山者を受け入れてくれない。しかし登頂に成功すると、素晴らしい冬山の風景が待っている。今回は農鳥岳にアタックした。先週の寒波で降雪があり、ラッセルを強いられ敗退することも覚悟したが、ラッセル地帯をなんとか突破でき、山頂を踏むことができた。快晴に恵まれ、冬の山岳風景を満喫できた。山頂の気温は−14度 風速15m。

冬の南アルプス

積雪期は登山口までのアプローチに悩まされるが、北アルプスに比べると積雪量が少ない南アルプスは、無積雪期と同じようにアプローチできる山岳がいくつかある。そこで狙ったのが農鳥岳3036mで、うまくいけば1泊2日で山頂を落とせる。冬のアルプスは高齢者には厳しいが、冬の3000m峰は魅力的だ。


先週、光岳に登り、天候に恵まれず山頂は踏んだものの、冬の山岳風景に恵まれなかった。日本の高山の冬季登山は、天候の読みが難しい。12月に入り断続的に寒気が流入し、降雪後は積雪量により山頂は踏めなくなる。今回も計画には入れていたが、冬型の緩んだ隙にドンピシャ当てはまるとは思ってみなかた。チャンスは突然に訪れるものらしい。

甲府で前泊

アプローチを含め、早朝から活動を始めるにはつらい年になってきた。甲府で前泊し、体を休めて初日の行程に臨むことにした。ホテルでゆっくり朝食を取り甲府駅で東京から来るNさんと7時半過ぎに合流し、登山口の奈良田にはいった。自宅を14時30分に出て、甲府の駅前のホテルに入った。食事は、ご当地B級グルメは「甲府鳥もつ煮」だそうで、居酒屋に入り注文してみた。なかなかおいしかった。朝食はバイキングで、冬山はエレルギーの消費が大きいのでしっかりと食べておいた。
豆腐はそれぞれの土地で食べることが多い
甲府鳥もつ煮
ありきたりな串、だけでうまかった
甲府駅前
駅前の信玄像

甲府から奈良田へ

JR甲府駅から登山口の奈良田までの所要時間は1時間30分だった。中部横断道路が開通しているので少し便利になった。しかし、早川に沿って奈良田までは遠い。工事用のダンプが頻繁に走っていた。中央新幹線のリニアのトンネル工事らしい。駐車場は一番大きな駐車場は廃止になっていて、下の方の駐車場に駐めた。この時期の登山者は少ない。
甲府市内から南アルプスの銀嶺が見える
大門沢から見上げる稜線
森山橋

大門沢登山道

10:15 大門沢登山道は北岳から周回したとき、下山に使った経験がある。10年以上前のことなので、登山道の様子はよく覚えていないが、大門沢小屋から長かった印象が残る。森山橋まではほとんど積雪はなく、取水口から先で少しだが積雪が始まった。当然、標高をあげるにつれ徐々に積雪が増していった。


大門沢は大きな谷で、南アルプスのスケールの大きさが感じられた。取水口の吊り橋を渡り、そのまま右岸を進む。尾根を何度も乗り越す巻き道で、谷までの落差が大きいので注意箇所がいくつかあった。途中、ブナの巨木に目がとまった。八丁坂の急坂は落ち葉で滑りやすかった。渡渉は岩に氷がついて滑りやすかった。
南アルプスの銀嶺が見え隠れする
早川水系発電所取水口
沢のスケールが大きい
ブナ林
ブナの巨木
八丁坂
小屋が近づくと積雪が増してきた

大門沢小屋

14:40、大門沢小屋に到着した。ほぼコースタイムで、高齢者にはこれ以上の時間短縮は望めない。雨の中を下ってきて、ここでテントを張ったことを思い出した。風の通り道のようで、夏は涼しいがこの時期は、休んでいるとすぐに体が冷えてきた。

少しでも標高を上げたい

明日の行程を考えると今日は、少しでも標高を稼いでおきたい。ビバーク地点は、標高が2200m付近になるだろう。明日の山頂へのアタックと下山を考えると、このラインまでは標高を上げておきたい。徐々に積雪が増してきているので不安要素が大きい。気温が低く凍結している箇所もあるのでアイゼンを装着した。積雪は20センチほど。日没過ぎまで頑張ることにした。
大門沢小屋 1700m
夕日に染まる富士山
沢から尾根にとりついたときの積雪
テント ビバーク
テント ビバーク

暗くなったのでビバーク

17:30 頑張って高度を上げて2160m地点でビバークすることにした。針葉樹林帯で風が通らず静かだった。冬のテント泊は、水を作って食事して寝る。これだけで時間がかかる。2時間くらいは必要だ。17:30にテントを設営し20:00に寝袋に入った。風がなかったのでテント内はそれほど寒くなかった。