2021年7月29日〜8月1日 第2日目 No.1374

八ツ峰6峰Cフェイスと八ツ峰縦走  Page1

【行程】

2021年7月30日 No.1374
剱沢野営場3:30〜剱沢雪渓〜長次郎谷出合〜長次郎雪渓〜7:40八ツ峰6峰Dフェイス取付〜6峰Cフェイス取付9:30〜6峰の頭〜7峰〜8峰〜15:30八ツ峰の頭16:30〜池ノ谷コル〜長次郎の頭〜18:40剱岳19:00〜前剱〜剱沢野営場0:30(6峰のフェイスで2時間、後続のルートミスで1時間、闇の雨中行動で1時間など、ロスタイム4時間が発生し行動時間21時間となった)
撮影機材 OLYMPUS TG5 GoPro9

YouTubeバージョンはこちらですhttps://youtu.be/VB79xv_sJV0

【概要】

長次郎雪渓右俣に段差ができていて通行に時間がかかりそう。さらに、登攀日(31日)の天候が芳しくなく、ピッケルも紛失してしまったので、チンネ左稜線を断念した。熊の岩泊を剱沢泊に変更し、二日目は八ツ峰6峰登攀、八ツ峰の縦走、北方稜線で剱岳へ、一般道で剱沢に戻ることになった。

剱沢野営場〜6峰基部

2時に起きて食事して準備を整えるのに1時間以上はかかる。結局、テント場を出たのが3時30分だった。私はピッケルを紛失しているので雪渓が心配だったが、6峰の取り付きまでならストックで行けるだろう。ただしスリップの保険がないことを肝に銘じた。源次郎雪渓、長次郎雪渓共に安定していた。長次郎雪渓に散らばる落石はいつも気になるが。
源次郎尾根
右から順に八ツ峰5峰、6峰、7峰、8峰、八ツ峰の頭
Dフェイスのスタート、実は間違えていた

八ツ峰6峰Dフェイス

Dフェイスの取り付きはかなり危うかった。写真からもわかるようにシュルンドが開き落差もある。なんとか岩壁につながった部分があったのでそこから岩壁に取りついたがルートが釈然としない。というかスタート地点を探そうにもシュルンドが邪魔して探しに動けない。ピンが合ったのでスタートするも途中でピンがなくなる。あったのは撤退用の支点だった。

ここで行程をCフェイスに変更した。しかし、Cフェイスフェイスに移動するのが難儀だ。Dフェイスの基部は雪渓の傾斜が強くクライムダウンが危険なので、岩にロープスリングで支点を作り安定したところまで50m懸垂した。そこからは50mほど雪面をトラバースしCフェイスの基部に到着した。これでロスタイム2時間。これ以上の時間のロスは避けたいのだが。
Dフェイス撤退

6峰Cフェイス登攀

剣稜会ルート。グレードもⅢ程度なので、登攀的にはかなり物足りないが、なんといってもこのローケーションは他では味わえない。155m6ピッチのルートで、5,6ピッチ目が高度感、ロケーションともに素晴らしいハイライトピッチだ。

このルートの核心はスタート地点の人糞とシュルンドのルーフ。人糞が下から、雪のひさしが上から攻めてくる。どっちも怖い。ひさしが崩落すればただでは済まない。シューズで人糞を踏めばこれまた難儀。
長次郎雪渓右俣と池ノ谷乗越
熊の岩はテントなし
ルーフが張り出している。早く通過したい
開放感のある快適なフェイス
ラストピッチのナイフエッジ
AとBフェイスの頭
2回目なので遊んでる

6峰〜7峰

6峰頭から八ツ峰の縦走路になる。と言っても登攀要素があり、ギャップがいくつかある。ギャップはクライムダウンできるが、懸垂した方が安全だ。途中でクライムダウンできなくなって。無駄な時間を消費してしまうことも考えられる。それとルートミスにも注意が必要だ。槍ヶ岳の北鎌尾根も同じだが、基本は尾根芯を外さないこと。ここの場合、7峰の巻道がクレオパトラニードルに向かっている。途中で気が付き側面を登ろうとすると、本来のルートではないので、グレードが高くなったり、浮き石が多かったりするので危険だ。今回はガスで見通しが悪く、後続チームがルートをミスしろすたいむが発生した。

登攀も含め長いルートになると、色々とアクシデントが発生する。そのたびにロスタイムが発生し累積すると今回は4時間になってしまった。ロスタイムは想定していたが、予想以上にかかってしまった。
狭い尾根にもチングルマ群生
ミヤマリンドウ
ハクサンボウフウ
コイワカガミ
長次郎雪渓を見下ろす
八ツ峰の頭とチンネの頭
7峰振を振り返る

8峰と長次郎右俣

8峰で先行4人パーティーに追いついた。経験の少ない高齢のパーティーで、懸垂も登攀もかなりの時間を費やし苦労していた。心配だった。

北方稜線の池ノ谷乗越からの登りもロープを出し、落石しながら4人が登り切るのに1時間以上かかっていた。本来ここは歩きで10分の行程だ。このチームは登ったところでビバークした。これは正しい判断だったと思う。
長次郎右俣池ノ谷コル直下の雪渓の状況

上の写真のように長次郎雪渓右俣、池ノ谷直下の雪渓の状況。まだ切れたはいないが、この下もかなり段差ができている。これを登るにはかなり時間がかかりそうだ。
クレオパトラニードル