2020年9月14日〜16日 No.1300

北鎌尾根(北アルプス)  Page5

槍の北面

北鎌平

昨夜はしっかりと休めたので体力が回復し、普通のペースで予定通り北鎌平に到着した。前回はガスと雨で何も見えず、ここが北鎌平である確認が曖昧だった。今回は、正面に槍が屹立しロケ-本のいいところだと判った。少し時間があるし、我々よりも若い単独者だったので先に行ってももらうことにした。落石が怖いので、少し間隔を空けたが、案の定大きな落石があった。先行者が抜けるのもまって、槍への最後の登攀を始めた。クライミング的にはⅢ級程度の登攀で簡単だが、岩の剥離には要注意だ。掴んだ岩が綴がれると滑落は免れない。安定したルートを選べばいいが、ルートをミスると難しくなりリスクが高まる。

槍ヶ岳

やはり槍の山頂への登攀が一番楽しいが、直下に遭難者のザックが残置されていた。それを見ると生々しい。ネットで調べると8月に滑落事故があったようだ。登攀中の事故は得てして簡単なところで起こるものだ。予定よりも少し遅れたが、槍の山頂に9時過ぎに到着できた。ゆうさんは槍の到着初回ということで、それが北鎌尾根からなので、よろこびが大きかったようだ。さて、帰ろう。
槍ヶ岳の山頂
槍ヶ岳の山頂からの展望

南岳と穂高連峰
大天井と常念岳
双六、鷲羽方面
肩の小屋から槍

下山

時間に追われて山を歩きたくはないが、なんとか今日中に帰りたいので小屋で水分補給後直ぐに山を下り始めた。最後のタクシーが18時30分だそうで、30分ゆとりを持たせると8時間ある。ほぼコースタイムと同じだが、休憩を入れるとあまりゆとりはない。一生懸命歩いて18時に上高地に到着した。時間に制約があると、疲れも倍増する。

厳し登山の帰りはいつも、道端の花が綺麗で優しく見える。ノコンギクとアザミが今が盛りと咲いていた。
槍を振り返りながら下山
播隆窟
高山の蝶、キベリタテハ
アザミ
槍沢
ミヤマゼンコ
人なつっこう山鳩
秋の花、ノコンギク

上高地の画家

上高地に戻ると人が居なく閑散としていたが、いつもの画家さんが熱心にキャンバスに向かっていた。お歳は81歳でもう60年ここで描き続けているそうだ。ここの風景は日本一だとうなずく。私もそう思う。
上高地の画家

最後に

クライミングはフリー全盛の時代だ。確かにそれを目指すのも面白い。グレードを上げていく楽しみがある。これも未知への朝鮮だ。日本登山体系の「はじめに」こう書いてある「めまぐるしく前進する現代の登山を、ある人は、アルピニズムの香りも感じられない末期的行為というかもしれない。またある人は、相も変わらぬ崖の木登りと揶揄するかもしれない。よいではないか、私たちは今の時代に真摯にアルピニズムを求めているのだから」

その通りだと思う。歳とともに、体力と意欲の衰えはごまかせななくなってきた。どのルートを登ってもこれが最後と思う。今回もそう思うが、こうしてレポートを書き、先日の登山を振り返ると、また、充実感を味わいたくなってくる。私だけではないだろう。