■甲斐駒ケ岳奧壁(南ア) |
レポート No.901 |
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7月31日 たくさん(芦安:山梨)、我々(仙流荘:長野 6:00のバス)〜(6:55)北沢峠(7:35)〜双児山(9:55)〜駒津峰(11:22)〜甲斐駒ケ岳(14:00)〜黒戸尾根8合目岩小屋泊(15:15) 七丈小屋(16:10)へ水汲み(17:25) |
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6ピッチ目 「40mA1ボルトラダー」(ビレイ13:50) さて核心ピッチが始まる。フェイスのボルトラダーからフィンガーサイズのクラックに沿っての人工登攀。このクラックの右にはスーパークラックが走りフリーで5.11cらしい。平山ユージさんが2003年にオンサイトしたとか。われわれはもちろん人工。 出だしのフェイスはボルトラダーだが、その先のクラックに入ると、支点が多く欠損していた。カムやナッツが効果的だが、問題は数が足りないこと。キャメロットでいうと、#1,#0.75、#0.5が決まるサイズ。2セット持っているが足りるかどうか不安になった。使えるところはナッツを優先して使った。ちぎれたリングボルトや抜け欠けているハーケンにタイオフしながら、カムのたま数を節約する。この頃にガスが出てきて、この先れだけ欠損しているのかわからない。カムの使い回しをすると後続が困るので、とにかく行けるところまで行くことにした。残り数メートルのところで使えるカムがなくなったが幸いにもボルトラダーが復活して助かった。長いルートだし、ギアをフル活用するピッチで厳しかった。 右上に支点が見えてきた。ハンギングビレイだ。RCボルトの頭とわずかなフレイクがスタンス。この姿勢での1時間のビレイは辛かった。 7ピッチ目 「40mWA1カンテを右に越えボルトラダー」(ビレイ15:20) 7ピッチ目も核心が続く。フェイスをボルトダラーで登り、恐竜カンテを右に回り込む。ボルトの欠損はなかったが、タイオスで凌いでいるところがあった。終了点は安定したテラスで、先ほどのハンギングと比べると天国のようなテラスだった。ここまでくると終わりに近づいた雰囲気がある。
8ピッチ目 「50mWA1岩の段のスラブ状フェイスからブッシュ」(ビレイ16:30) 岩場とブッシュが混在するピッチ。岩場はフリーでは侮れない。フリーで登り始めたが、力がなくなってきているので、途中で人工に切り替えた。適当なところの立木でビレイをとった。時計を見るとすでに16時30分を過ぎていた。 9ピッチ目 「ブッシュ帯の登攀40m」(ビレイ17:00) ここからブッシュの登りになるが、所々に岩場があるので気が抜けない。ルートも判然としないが、ここはこれまでに培ったバリエーションの動物的臭覚でリードした 10ピッチ目 「ブッシュ帯を登攀しダイヤモンドフランケの頭の岩小屋へ40m」(ビレイ17:35) 今どこにいるのかわからないが、ここしかないだろうと思われるルートで登って行くと岩屋にぶつかった。登攀終了。時計を見ると18時になろうとしていた。 登攀が終わりいつもの握手をすると、なんともいえない安堵感が漂い力が緩んでいくのがわかった。厳しく長いルートだけに、リスクも大きく、不安も多かったが、気持ちを飲まれることはなく、無事にやり遂げることができた。登攀に集中できたのは、全行程を管理してくれたたくさんのおかげである。この場を借りて改めて感謝したい。 さて登攀は終わったが、また、ねぐらにしている8合目の岩小屋までの登り返しがある。ここまでに13時間行動を強いられたのでかなり体力も消耗している。1時間の登り返しはきつかった。 岩小屋には何とかヘッデンを点灯せずに帰ることができた。昨夜と同じようなメニューで夕食を食べているとにわか雨が降り出したがすぐに止んだ。広場まで出てみると、西の方で雷が光っていた。花火の様だった。東を見ると満月が登ってきて甲府の町の明かりが見えていた。やがて雷鳴が止み静かな夜が訪れた。
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