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2011年9月10日25日26日 北穂高岳東稜(北アルプス)   ホーム

 

北穂東稜(北アルプス)2011年9月25日26日 No.626 隊長、うさぎ
〜通称ゴジラの背を歩いてみた〜
9月25日 平湯あかんだな駐車場(7:50)〜上高地(8:30)〜明神(9:30)〜徳沢(10:30)〜(11:30)横尾(12:00)〜本谷橋(13:30)〜涸沢野営場(15:30) 歩行距離15km 累積標高+800m
9月26日 涸沢野営場(4:30)〜南稜登山道分岐(5:55)〜東(6:50)〜ゴジラの背(7:20)〜北穂高小屋(8:40)〜北穂高岳3106m〜(10:30)涸沢野営場(11:10)〜本谷橋(12:35)〜横尾(13:25)〜上高地(16:10)〜平湯(17:00)〜鈴鹿自宅(21:00) 歩行距離24km 累積標高+800m-1600m ルート

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北穂南陵へ 3時40分,スマートフォンのアラームで目を覚ます。しっかりと寝ることができ,目覚めは良かったが,暖かいシュラフが恋しい。しかし今日は,時間的にゆとりのない行程なので,シュラフのファスナーを下し行動開始。さっそく暖かい味噌汁を作り,野菜サラダ,ボイルウィンナーのメニューで朝食を摂って体を始動させた。予定通り4時30分,ザックに登攀具,ロープ,雨具,水,防寒具などを詰め込み,ヘッドランプの明かりを頼りに野営場を後にした。
北穂高岳南稜の一般登山道を見上げると,ヘッドランプがちらほらと蛍のように明滅している。日の出を目当てに早朝に出発した登山者の明かりのようだ。南稜は何度も歩いているルートなので心配はないが,バリエーションに入ってからのルート気がかりだ。涸沢小屋まで上がっただけで息が弾みだした。思ったいたよりも朝の冷え込みはなかった。星はちらほらと見えていたが,今日は概ね,曇り空のようで,放射冷却による気温低下もあまりなかったようだ。


南陵への分岐地点、もちろん標識なし

分岐 ヘッドランプに照らし出された石段の登山道をゆっくりと登って行く。小屋の取水施設を過ぎ灌木帯を抜けると少し空が白み始めてきた。ヘッドランプを消して歩けるようになると,そろそろ分岐点に差し掛かってきた。鎖場への取り付きの手前からがれたずルンゼを横断しなければならない。踏み跡ははっきりしないが,棟稜へ取り付くルンゼは確認できる。取り付きまでのルートを目で追ってみると,自ずとルートが推測できた。


ルンゼを見切り、岩尾根に取り付く

大小の岩屑でうまったガレ場は常に落石の危険がつきまとう。落石に備え耳をそばだて,浮き石に注意しながらルンゼを横断した。取り付きのルンゼに入ると傾斜が増し,足元が不安定になってきた。ルンゼをだましだまし進むがルートだが,少し岩尾根に逃げることにした。岩峰上部を見上げると堆積した巨岩がかぶさってきているので直登は無理だろう。


岩稜の上部で行き詰まる

案の定,上部のせり出した岩に進路を阻まれた。2か所ほど弱点がありそうだが,上に乗っている岩が不安定そうだ。稜線はすぐそこだが,大事をとって断念することにした。ならば,トラバースするか,懸垂で逃げるしかない。結局一段下にさがり左からトラバースができた。しかしその時,ウサギがホールドのためにつかんだ人の大きさほどの岩が倒れてきた。うさぎは咄嗟に反転しハイマツにしがみつき事なきを得たが,思わぬところに核心が隠れていた。リッジは安定した岩だったが,少し芯を外れると浮き石が多かったので,注意するように声をかけながら登っていたが,人の大きさの岩がまさか動くとは思っていなかったようだ。バリエーションを行く場合,ルートファインドが極めて重要であることを改めて感じた。


南陵に乗る

  
南陵からの展望 左:前穂高岳 右:奥穂高岳

  
岩稜で登攀準備         槍ヶ岳


登攀準備完了

コルへ 左へのトラバースは正解で,20mほど進むとコルに出た。やれやれだ。展望を楽しみながら息を整えて,これから進む岩稜のルートを目で確かめた。岩が積み重なり険悪そうに見える岩稜だが,実際に歩いてみると足場は意外としっかりとしていた。登攀が必要な所が何箇所かあることが却って,快適な登攀につながっている。バランスさえしっかりとしていれば確保の必要はないだろう。


横尾尾根とカール


取り付いた岩尾根とルンゼ、ルンゼにはうっすらと踏み後が確認できた

 


北穂南陵


奥穂高岳


前穂高岳

   
東稜の快適な登攀


これを登るとゴジラの背

レッジ しばらく進むと涸沢側のレッジの通過があった。しっかりとしたレッジでホールドも豊富で安心して通過できるが,下を覗き込むとかなりの高度感があった。これを過ぎ安定した岩場で撮影のために立ちどまった。南稜を見ていたウサギが,「あ!人が落ちていく」と声をあげた。慌てて南稜に目をやると,鎖場付近を滑落していくのが見えた。大変だ,今我々にできることはと考える。時計を見ると7時15分だった。我々はゴジラの背の手前まで来ているので現場には行けない。連絡するために携帯を取り出してみたが圏外だ。現場には何人かの登山者がいるようだ。とにかく我々は北穂高小屋まで行き,連絡をとることしかできないと判断。これから核心部を控えているので焦っても駄目なので,慎重に確実に前進することにした。


涸沢側のトラバース、下を覗くと高度感抜群


涸沢側のトラバース

 


涸沢カールと前穂高岳


事故が起きた南陵の鎖場


南岳と槍ヶ岳、ガスがたなびきだした

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