2011年7月9日10日 北岳(南アルプス) ホーム |
■北岳(南アルプス)2011年7月9日10日 No.614 八本歯のコル さて雪渓が終わると険しい岩峰ルートになる。要所にははしごが設置されているのでルート場の問題はない。八本歯のコルまでの標高差は約200m。このあたりから足が重くなってきた。高所であること、そして、大荷物を担いで登ってきた体には肉体疲労蓄積している。10歩ほど進みひと呼吸を入れることの繰り返しになった。途中で5分ほどの休憩を入れ、やっと八本歯のコルに到着した。標高は2880mで、指呼の距離にある北岳山荘とほぼ同じ標高だ。 痩せ尾根の鞍部にある八本歯コルからは農鳥岳方面に展望が開けている。農鳥岳も残雪があり美しい。また南側は草付の斜面となっていて、百花繚乱の時季だ。シナノキンバイ、ハクサンイチゲが斜面を埋め尽くしている。他にはミヤマクロユリ、ミヤマオダマキ、ツガザクラを見かけたが、シナノキンバイとハクサンイチゲに圧倒されていた。 キタダケソウ さて八本歯のコルまで高度をあげると大仕事は終わったも同然。コルから尾根に沿って高度を100mほど上げていくと、トラバース道の分岐に達する。 ここからのお楽しみはやはりキタダケソウだろう。時季を逸し、花はほとんど終わっていたが、数株は花が残っていた。ありがたい。 遠くから見ていると,ハクサンイチゲに同化し,見分けがつかないが,近くで観察すると,花冠と葉に特徴があり,簡単に識別できる。この山の固有種であることは既知のことで,登山道から見られるのはこのトラバース道のある南斜面だけだ。しかし大勢は,シナノキンバイとハクサンイチゲで,微妙な生育環境の違いで見事に住み分けがなされていた。キタダケソウに変わりちょうど,チョウノスケソウが花期を迎えていて,目を引いた。他には,イワベンケイ,ミヤマオダマキ,オヤマノエンドウ,ミヤマシオガマなどが彩りを添えていた。 百花繚乱のトラバース道を時間を忘れ,花を楽しみながらゆっくりと歩き,主稜線のコースに合流した。合流点まで来ると北岳山荘はすぐそこだ。カラフルなテントが小屋を囲み,夏の賑わいが感じられる。15時20分にテント場に到着し,さっそくテントを設営し始めたところ,ぽつぽつと雨があたりだした。急いで設営しとりあえず荷物をテントの中に入れてテントに逃げ込む。 炊飯 さて食事だが今回は,無洗米を準備していきた。米を炊く場合,テント場の標高は2900mあり,圧力不足で芯までふっくら炊き上げるのは難しい。過去に何度か挑戦してみたが,結果は芳しくなかった。しかしあえて今回は挑戦してみた。これまでの反省から,水に浸しておく時間を長くしたこと,ふた付きのアルミ鍋にしたこと,水の量を少し多くしたことなど,今までの失敗を生かした工夫をしてみた。結果はまずまずで,少なくともアルファ米よりはおいしく出来上がった。パスタやインスタントラーメン,レトルトカレーなど,味の濃いものが食べられなくなってきた。昨年あたりから味噌汁とご飯が定番になってきている。疲れていて食欲がなくても食べられるからだ。米は2合炊いて2食分とした。 富士山 食事が終わり外を見ると,空が赤らみ始め,赤く染まった富士山が雲海に浮かんでいた。シュラフにもぐりこみ,テントの中から富士を楽しめるのは,野趣味のあるテント泊だからこそだ。快適な小屋泊にくらべ,荷物は重くなるし,悪天候時などは厳しいテント生活になる。しかし,自分の力で山に登り,寝食し,自然とじかに接する山旅は,得られる充実感も違ってくる。 星座 9時ころに目が覚め,外に出てみると満天の星空が広がっていた。月明かりで風も収まり穏やかな夜になった。ダウンをはおりカメラを持って散策してみた。ちょうど北岳の山頂には,カシオペア座が輝いている。南を見ると,農鳥岳の上にはっそり座が横たわっている。西の空には,北斗七星が大きな柄杓を作っていた。カメラを石の上に於いて撮影してみた。 |
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