2007年8月25-26日 塩見岳(南アルプス) |
■唐松岳・五竜岳(北アルプス)2007年9月1日2日 No.421 隊長、うさぎ
明日からまた、天気が下り坂になるようなので、余力があれば五竜の登頂を済ませておきたいが、午後からは五竜までの縦走という大仕事が待っている。時間的には2時間半の行程だが、午後からともなると足や腰に疲労が蓄積しだして来る頃だ。時間的にはテント設営後、山頂を往復するゆとりはあるだろうが、気力と体力が続くかがポイントになってくる。唐松岳山頂山荘にもどり縦走路を南に向かう。
小屋を離れると、穏やかだった縦走路が一変し、牛首(うしくび)の岩稜地帯の急降下が始まる。がっちりとした鎖が取り付けられているが、鎖に頼らずにしっかりとした足場の確保が大切だ。20キロ近いザックを背負っているので、足を取られて手だけでは支えきれないだろう。3点支持を確実にして、ゆっくりと降下していく。前回は風雨のために何も見えず、吹き上げてくる風雨を凌ぐのに手を焼き、高度感など難じる余裕もなかったことを思い出す。高所の嫌いな登山者であれば、恐怖感でアルペンムードもかき消されるかもしれない。
最低鞍部の標高が2315mなので、標高差300mの気の抜けない降下が続く。大黒岳手前でやっとひと息入れる。さて今度は最低鞍部から野営場のある五竜山荘まで200mの登り返しだ。稜線歩きには必ずアップダウンがつきものだ。アミノバイタルで疲れた筋肉を補修し、ギアをローに入れて登りにかかる。予想通り午後は、ガスがかかり始めた。今日中に五竜山頂までと思っていたが、ガスで意欲も薄れていった。 途中で2度ほど休憩して五竜山荘にたどり着いた。到着が早かったので、テントサイトはまだまだ選択の余地があった。稜線のテントサイトは得てして条件が良くないことが多いが、まだここのテントサイトはいい方だろう。比較的傾斜の少ない整地された場所を選びテントを設営する。とりあえずビールを飲んでここまでたどり着いたご褒美とする。テントでしばらく横になり休憩する。 テントサイトも時間が経つにつれて少しずつ賑わってきたが、最盛期に比べるとまだまだゆとりがあった。大テントのグループがあり騒音を警戒したが、極めてマナーがよく、日が沈むと静かなテントサイトとなった。夜半過ぎにテントを揺るがす風が吹き始め、五竜登頂を断念する夢を見たが、朝方には収まったようだった。前回の撤退がしっかりと記憶に刻まれているようだ。風雨が収まらず、18時間もテントに停滞したことを思い出す。テント山行ではなかなか眠れないという人も多いようだが、我々に関しては全く逆で、いつものことながら19時前にはシュラフにもぐりこんで眠ってしまう。それに今回もまたまた朝寝坊をしてしまい、5時10分前に慌てて起きあがり、とりあえずはスープを飲んで目を覚ました。 【2日目(9月2日)】 天候が徐々に悪くなるという予報だった。高曇りでもいいからガスが取れてくれないかという願いは叶わなかった。温かいものを飲んでからサブザックに必要なものを入れ、テントサイトを後にして五竜岳の山頂に向かった。ガスで視界がないが、風が無く穏やかである。薄手のフリースに雨具を羽織って出発したが、すぐに体が温まりフリースを脱いで温度調節をする。 登るにつれて登山道も徐々に険しさが加わり、山腹の岩場を鎖を頼りにぐいぐいと登っていく。ひとつ尾根の乗り越すと山頂への最後の登りになる。所要時間は1時間ほどだが、空身で登っているのでペースが上がり、約40分で山頂に立つことができた。 ガスが晴れれば、すばらしい展望が楽しめるだろう。10分ほど待ってみたが、どうやらガスの晴れる気配は感じられなかったので山頂を後にすることにした。縦走組、往復組の何組かの登山者と行き交う。 テントに戻り軽く食事をし、テントサイトを後にしたのは7時半だった。まずは白岳に登り分岐点を遠見に向かって降り始める。白岳からの展望もよさそうだが、ガスで何も見えない。上部には岩場があり、鎖を使いながら下っていく。以外にもミヤマアズマギクやイブキジャコウソウと出会うことができたのが嬉しかった。高度が一旦、ダケカンバ帯まで下がると、長い尾根歩きが始まる。 西遠見山2268m、大遠見山2106m、中遠見山2031m、小遠見山2007mと順調に通過していく。距離の割には高度が下がらず、降下が始まるのは小遠見山を過ぎたあたりからだ。途中、遊歩道に変わるとテレキャビン駅のあるアルプス平は近い。大遠見山あたりからは雨に降られ笠をさしたりたたんだりを繰り返したが、予定通り11時にはアルプス平に到着した。ゴンドラに乗って無事に白馬五竜テレキャビン「とおみ駅」に到着した。
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