2021年8月24日 No.1380

国見岳 鈴鹿山系  Page1

【行程】

2021年8月24日 No.1380
裏道登山口〜藤内小屋〜藤内沢出合〜国見峠〜石門〜国見岳〜国見峠〜藤内小屋〜裏道登山口 撮影機材 OLYMPUS EM1mrk3 ED12-200mm GoPro9

YouTubeバージョンはこちらですhttps://youtu.be/tpcJU69jOT0

【概要】

NHKウィークエンド中部「ゆる山へGo」ロケ下見で国見岳に登った。低山は、春の花、とりわけこの山域では、アカヤシオ、シロヤシオ、シャクナゲ、ハルリンドウ、野鳥では、オオルリ、キビタキ、アカゲラ、コガラなど、春は見どころが多い。そして秋は、落葉樹林が多く、ドウダン、ヤシオなどの紅葉が美しい。しかしこの時期は、野鳥も少なく、花も見られない。しかしこの山域は、藤内壁に代表されるように、大岩壁や奇岩・巨石が点在し、稜線や山頂からの展望も良い。なので、これを中心に見どころを紹介しようと思う。緊急事態宣言が東海三県に発令され、ロケ日、放送日も定まらないが、準備をすすめることにする。

国見岳

御在所岳はすでに放送したので、今回は国見岳になった。昨年、一昨年と尾鷲、室生の山を扱ったので、今回は鈴鹿に戻す事になった。いくつか候補はあったが、季節感を出しにくい時期で、しかも暑い夏なので、水のある谷ルートで、ヤマヒルがいない、日陰が多い、岩場の風景、山頂からの展望が楽しめるなど、条件を絞っていくいくと、今回は国見岳に落ち着いた。ルートは、朝明渓谷、湯の山がある。見どころを考えると湯の山ルートにすることにした。

藤内小屋

創業は1959年だそうで、それ以来多くのクライマー、登山者が利用してきた。週末のみの営業だが、毎週、宿泊客で賑わっている。2008年9月の豪雨で壊滅的な被害にあったが、多くボランティアの尽力で復興し、2011年に再スタートをきった。玄関には初代小屋主佐々木さんのイラスト画が掲げられている。私も年に数度利用する。小屋主の神谷さんの温かい人柄は、多くの常連客の心を惹きつけている。
藤内小屋
砦岩と立岩
うさぎの耳

砦岩

藤内小屋の上にある岩場で、クライミングのルートが開かれている。位置的には中登山道の地蔵岩を過ぎたところで、立岩から行くこともできる。

うさぎの耳

北谷の左岸にそびえる岩の塔で、クライミングのルートが築かれている。岩の形から来ていると思うが、どう見ればいいのだろうか。水場を過ぎたところにタマゴタケがあがっていた。毒々しいので登山者は手を出さないのか、そのまま残っていた。
タマゴタケ
タマゴタケ

藤内壁

クライミングの岩場として全国的にも知られる。昭和の初期から岩場の開拓が始まり現在にいたている。藤内壁の由来は、藤内という猟師が初めて登ったからと言われる。前尾根、中尾根、一の壁、後尾根・・・・それぞれ、ルートが開かれている。それぞれの尾根ルートは山頂に通じている。
ハンバーガー岩 ゴジラ
北谷の滝

裏道登山道

登山道は北谷の左岸を通っているので、常に渓流の水音が聞こえてくる。歌詞などの常緑樹が多く、日陰になるので夏場はありがたい。御在所の登山道はどこもそうだが、岩場の上り下りが多く、登山の醍醐味が感じられる。ここをいつも登っていると、アルプスの岩場も苦にならないだろう。

国見峠

根の平峠は近江と伊勢を結ぶ主要道として使われていたが、国見峠は文献を調べてもあまり利用されなかったように思う。標高は1000mほどあり、伊勢側は北谷に沿って登っても急峻で、峠越えは厳しかったと思われる。千種街道から直接、湯の山に降りられるので、脇道として使われたのかもしれない。峠周辺を散策すると、地形的には、伊勢側が急峻で滋賀側は緩やかであることがわかる。峠から2,3分のところに大岩があり近頃、ゴジラ岩の名を頂いている。自然と人間の遊び心が作り出した造形が微笑ましい。
国見峠
ゴジラ
ナマズ岩

石門

自然が作り出した造形に関心させられる。どうやってできたのか想像するだけでも楽しくなる。
石門

国見岳

のっぺりとした山容で、よく見ると南北に小ピークがあり、北峰は山頂で岩の上に登れば展望が開ける。南峰付近は岩場で、藤内壁が一望できる。いずれのいただきにも三角点は設置されていない。山名版がせっちされていて、山座同定に役立つ。岩の上に立つと360度の展望が開け、山名の由来を実感できる。

 

うさぎの耳

国見岳

舒明天皇が天香山に登り望国したときの歌(万葉集)がある。「大和には 群山あれど とりよろふ 天の香具山 登り立ち 国見をすれば」「国原は 煙立ち立つ 海原は 鴎立ち立つ うまし国ぞ 蜻蛉島(あきずしま) 大和の国は」 大和(やまと)にはたくさんの山があるが、特に良い天(あめ)の香具山(かぐやま)に登って、国を見渡せば、国の原には煙(けぶり)があちこちで立ち上っているし、海には、鴎(かまめ)が飛び交っている。本当に良い国だ、蜻蛉島(あきづしま)の大和の国は。*蜻蛉島は日本のこと
国見岳という山は全国各地にあるが、ようするに、領主が、自ら支配する領地を高所から眺望することで安堵し自賛する行為だ。