2021年8月24日 No.1380
国見岳 鈴鹿山系 Page1
【概要】
NHKウィークエンド中部「ゆる山へGo」ロケ下見で国見岳に登った。低山は、春の花、とりわけこの山域では、アカヤシオ、シロヤシオ、シャクナゲ、ハルリンドウ、野鳥では、オオルリ、キビタキ、アカゲラ、コガラなど、春は見どころが多い。そして秋は、落葉樹林が多く、ドウダン、ヤシオなどの紅葉が美しい。しかしこの時期は、野鳥も少なく、花も見られない。しかしこの山域は、藤内壁に代表されるように、大岩壁や奇岩・巨石が点在し、稜線や山頂からの展望も良い。なので、これを中心に見どころを紹介しようと思う。緊急事態宣言が東海三県に発令され、ロケ日、放送日も定まらないが、準備をすすめることにする。
国見岳
御在所岳はすでに放送したので、今回は国見岳になった。昨年、一昨年と尾鷲、室生の山を扱ったので、今回は鈴鹿に戻す事になった。いくつか候補はあったが、季節感を出しにくい時期で、しかも暑い夏なので、水のある谷ルートで、ヤマヒルがいない、日陰が多い、岩場の風景、山頂からの展望が楽しめるなど、条件を絞っていくいくと、今回は国見岳に落ち着いた。ルートは、朝明渓谷、湯の山がある。見どころを考えると湯の山ルートにすることにした。

藤内小屋
創業は1959年だそうで、それ以来多くのクライマー、登山者が利用してきた。週末のみの営業だが、毎週、宿泊客で賑わっている。2008年9月の豪雨で壊滅的な被害にあったが、多くボランティアの尽力で復興し、2011年に再スタートをきった。玄関には初代小屋主佐々木さんのイラスト画が掲げられている。私も年に数度利用する。小屋主の神谷さんの温かい人柄は、多くの常連客の心を惹きつけている。



砦岩
藤内小屋の上にある岩場で、クライミングのルートが開かれている。位置的には中登山道の地蔵岩を過ぎたところで、立岩から行くこともできる。
うさぎの耳
北谷の左岸にそびえる岩の塔で、クライミングのルートが築かれている。岩の形から来ていると思うが、どう見ればいいのだろうか。水場を過ぎたところにタマゴタケがあがっていた。毒々しいので登山者は手を出さないのか、そのまま残っていた。


藤内壁
クライミングの岩場として全国的にも知られる。昭和の初期から岩場の開拓が始まり現在にいたている。藤内壁の由来は、藤内という猟師が初めて登ったからと言われる。前尾根、中尾根、一の壁、後尾根・・・・それぞれ、ルートが開かれている。それぞれの尾根ルートは山頂に通じている。


裏道登山道
登山道は北谷の左岸を通っているので、常に渓流の水音が聞こえてくる。歌詞などの常緑樹が多く、日陰になるので夏場はありがたい。御在所の登山道はどこもそうだが、岩場の上り下りが多く、登山の醍醐味が感じられる。ここをいつも登っていると、アルプスの岩場も苦にならないだろう。
国見峠
根の平峠は近江と伊勢を結ぶ主要道として使われていたが、国見峠は文献を調べてもあまり利用されなかったように思う。標高は1000mほどあり、伊勢側は北谷に沿って登っても急峻で、峠越えは厳しかったと思われる。千種街道から直接、湯の山に降りられるので、脇道として使われたのかもしれない。峠周辺を散策すると、地形的には、伊勢側が急峻で滋賀側は緩やかであることがわかる。峠から2,3分のところに大岩があり近頃、ゴジラ岩の名を頂いている。自然と人間の遊び心が作り出した造形が微笑ましい。



石門
自然が作り出した造形に関心させられる。どうやってできたのか想像するだけでも楽しくなる。

国見岳
のっぺりとした山容で、よく見ると南北に小ピークがあり、北峰は山頂で岩の上に登れば展望が開ける。南峰付近は岩場で、藤内壁が一望できる。いずれのいただきにも三角点は設置されていない。山名版がせっちされていて、山座同定に役立つ。岩の上に立つと360度の展望が開け、山名の由来を実感できる。

