2021年7月29日〜8月1日 第4日目 No.1376

龍王岳東尾根主稜  Page1

【行程】

2021年8月1日 No.1376
剣沢テント3:20〜別山乗越4:20〜雷鳥平〜室堂7:30〜一ノ越8:50〜東尾根取付9:20〜東尾根主稜登攀〜龍王岳10:50〜浄土山11:30〜室堂13:00
撮影機材 OLYMPUS TG5 GoPro9

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【概要】

最終日は半日のゆとりがあるので、龍王岳東尾根主稜を登ることにした。以前から時間があれば立ち寄りたいと思っていたルートだった。日本山岳大系にも紹介されているルートで、グレードは Ⅱ 750m となっている。グレードがⅡだとフリーで登れるレベルだが、もちろん一般登山道ではない。「一の越から見ると、龍王岳の山頂から東に黒いギザギザの岩尾根が御山谷カールの中へ伸びている」(引用)全くそのとおりだ。1から4峰(本峰)を越えていく。

剱沢〜室堂

2時に活動開始。朝食を食べて後片付けしテントを畳みパッキングしていると1時間はかかる。あちこちでテントに明かりはついていた。ヘッデンスタートし別山乗越で少し白み始めた。体は高所順応しているが、3日間の疲れで足が重い。乗り越はガスが流れていた。帰路も見晴らしの良い尾根ルートで下る。相変わらずチングルマの群生が見事だ。
猫又
地獄谷
チングルマ
地獄谷

室堂〜東尾根取付

室堂ターミナルに大きな荷物をデポし、まずは一ノ越まで登った。このルートは18年ぶりで少しだけ記憶に残っていた。一ノ越まで登ると、龍王岳東尾根の全容が把握できた。顕著な尾根なのでよくわかった。

これでガスで視界がなければモチベーションが上がらないだろう。一ノ越から黒部平に下るルートを少し歩き岩壁に向かった。踏み跡もしっかりとしている。約30分くらいで尾根の末端に到着した。
ヨツバシオガマ
コバイケイソウ

東尾根取付

踏み跡はあるが、岩壁の末端を目指した歩けば迷うことはなかった。岩壁を見てフリーで行く判断をした。もちろんロープとギア類は準備している。状況判断でいつでもロープを出せる態勢にして登り始めた。

すぐ後ろにガイドさんが一人のお客さんを連れて登ってきたので道を譲った。どこかの山岳会がロープを出してクライミング練習をしていた。ロープを使う意味があまり理解できていないようだった。しかしこんな簡単なところで練習になるのか疑問だ。方法を覚えても人はすぐに忘れる。体得するには意味と関係の理解が必要だ。
尾根末端が近くになってきた
登攀開始
尾根末端が近くになってきた
登攀開始
チシマギキョウ

龍王岳〜浄土山〜室堂

登攀開始から約1時間30分くらいで龍王岳山頂に到着した。山頂はピークを踏みに来た登山者で賑わっていた。浄土山までは約20分の距離、花の多い区間だった。

ハクサンボウフウ、イワギキョウ、ハクサン市毛、ミヤマダイコンソウ、ミヤマキンバイ、ヨツバシオガマ、イワツメクサ、タカネウスユキソウ、チングルマ、ウサギギク、エゾシオガマ、コバイケイソウ、ミヤマリンドウ、コイワカガミなど、とにかく今が高山植物の花盛りだ。雪解けを待って一気に花を咲かせ種をつける営みだ。
イワギキョウ
ミヤマリンドウ
ウサギギク
クルマユリ
ミヤマキンバイ

剣岳遠征総括

天候が危ぶまれたが、この不安定さは太平洋高気圧の張り出しが弱く上層に寒気が残っていることに起因する。等圧線の間隔は広いので大きな天候の荒れはないと判断した。また、ベースキャンプ型なので天候に対応し臨機応変にコース変更ができる。

当初はチンネ左稜線のつもりで入山したが、状況判断で3つのバリエーションルートを登りことができた。厳しい内容のルートもあり、その都度、冷静な判断が必要にもなった。体に疲労感が残っているが、やりきったという心の充実感は他では味わえないだろう。剱岳ありがとう、山仲間ありがとう。立山駅まで戻り解散。亀谷温泉で汗を流し帰路についた。