プロローグ秋の花を探しに行ったが、花の山は様変わりしていた。植生の変化というよりも、食物連鎖によるものなのか、頭に浮かぶのはシカの食害。数年前からフクジュソウが激減していたのは知っていたが、秋の花についてはどのような影響が出ているのか解らなかった。今回足を運んで植生の変わり様に驚いた。山全体がベニバナボロギクに占拠されている。ベニバナボロギクはアメリカ原産の帰化植物で戦後、太平洋側から帰化。植物の師匠の太田久次先生の「三重県の帰化植物」によると、四日市港周辺では1960年代に確認されている。日当たりの良いところを好むので、霊仙山などは好条件の生育環境なのだろう。ということでこの時期の霊仙山は、イブキトリカブト、リュウノウギク、レイジンソウ、シオガマガク、カワラナデシコなどが見られたが、今は歯科の来ない所に追いやられ息絶え々になっている。小型のヒメフウロが岩の間に隠れて生き延びていた。
アプローチ 醒ヶ井の駅でじんじんさんと待ち合わせした。ルートは決めてなかったが、フシグロセンノウを見るなら谷山谷がいいが、どうも工事中らしい。それに災害以土が流れ花がめっきり少なくなっている。アキノ霊仙は久し振りなので、ノノーマルルートではったりハイキングにすることにした。
榑ヶ畑登山口 登山口に着くとすでに2台入っていた。ここ数年は柏原道や谷山谷を歩いていて、このルートは登りには使っていなかった。林道が奥まで伸びていて、道標などが新しくなっていた。休憩所もできている。しかし山道に入ると雰囲気は以前のままだ。廃屋が残っていたが今はない。直ぐに「かなや」に到着。ここも以前と変わりない。営業しているは不明だが。
ジグザグに登って汗ふき峠に到着。春、ミスミソウを目当てによく来ていたが、今はどうだろうか?ヤマジノホトトギスが咲いていた。花を求めてこの時期に歩くことは少ないが、そういえばこの花はこの時季だったな。

榑ヶ畑登山口 山小屋かなや

左:汗ふき峠
汗ふき峠からはひたすら登る。落葉樹林がおおいので、歩いていても気持ちがいい。樹林を抜ける風はひんやりとしている。山はすでに秋だ。尾根まで登ると確か「見晴台」があったはず。ここもよく覚えている。以前との植生の違いはベニバナボロギクがやたらと多い。マツカゼソウ亜h以前からこの時期によく見かける花だが、トリカブトがまったく見当たらず、ベニバナボロギクが目に付く。これは戦後、帰化した植物で、道端でよく見かけるが、ついに山にまで侵入してきた。日当たりのよい荒れ地を好むようで、どうやら霊仙はすみごごちがいいみたいだ。

見晴台
見晴らし台から少し登ると樹木がなくなり草付きの斜面になる。ここもベニバナボロギクが優先している。従来からある花はヤマルリソウくらいで、他には見つからない。カワラナデシコ、シオガマギク、リュウノウギクなどがあったはずだがまったくない。それどころか、どこまで行ってもベニバナボロギクばかりだ。少しは期待していたが、登るにつれ落胆に変わっていた。

草付きの斜面 お猿岩

ヤマルリソウ 稜線

お池(お虎ケ池) 山上のカレンフェルト
まずは経塚山に登る。先行者が二人尾根に沿って降りてきた。山頂からは霊仙らしい風景が広がる。

経塚山 最高点と山頂

山頂から最高点に向かう ヒメフウロ
どこへ行ってもベニバナボロギクだ。イブキトリカブトもリュウノウギクもどこかへ追いやられているのかそれとも絶えてしまったのか。岩の間にヒメフウロが花を咲かせている。小さいのでシカの食害から免れているようだ。カタバミもよく見かけた。

右:山頂

カタバミ ベニバナボロギク
さて帰路は、花に期待し南西尾根で降りることにした。以前は春、フクジュソウの自生地でよく歩いたが、ここ数年はほとんど見かけなくなった。残雪期も雪を踏み抜いて歩きにくいが、この時期もゴツゴツして歩きにくい。とりあえず近江展望まで進み昼食休憩にした。岩場には、花の終わったキリンソウ、小さなピンクの花をつけるヒメフウロが咲いていた。意外にもホオズキが多い。赤い袋がよく目立つ。鑑賞用の植物がだいつから自生しているのか。

南西尾根 近江展望

マツカゼソウ キリンソウ
近江展望で大休止。最後の草付き斜面に望みをかけて下り始めた。するとイブキトリカブトが一輪咲いていた。御池や藤wらもそうだが、根生葉はたくさん見かけるが、花が咲く柄が食べられるのか、どれも背丈の低いのばかり。すると見覚えのある人が単独で登ってきた。地元のタロボーさんだった。パソコン通信で始まったネットの社会だったが、そのころからの鈴鹿の山仲だ。秋の花を求めて南西尾根から上がってきたようで、花のなさに落胆しているのも同じ。登りはじめにトリカブト少し咲いていたというのが救いだった。

ホオズキ イブキトリカブト

イブキトリカブト
笹峠からは歩きやすい道だ。30分で今畑に下り、落合から榑ヶ畑にもどった。最近はしっかりと歩いていないので、汗ふき峠の登り返しが辛かった。

ヤマジノホトトギス 今畑