■明神岳主稜(穗高連邦) |
レポート No.986 |
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9月3日 沢渡(6:20)〜上高地(6:55)〜岳沢登山口(7:15)〜穂高・岳沢登山路7「南西尾根取付」(9:20)〜明神岳5峰野営適地(13:30)〜5峰(15:00)〜4峰(16:00)〜5峰野営地(17:00) |
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| ページ1 | ページ2 | 二日目 明神岳へ 3時半にアラームで目を覚ます。ガスが深く、霧雨のような状態なので、少し様子を見ることにした。4時半に外を見ると星が出ていたので、少し出発は遅れるが、行けるところまで行くことにした。 ヤマテンの予報では、午前中は晴れマークで、午後から下り坂。午前中に戻ればいいだろうと判断し5峰の登りに取りかかった。昨日は4峰まで行っているので、再びの登りにあまり気分が乗らないが、アルプスの朝の空気感はここでしか味わえない。歩き出すと、モチベーションが上がってきた。 4峰まで来ると標高が2800mを越え、目指す明神岳主峰が見えてくる。朝の斜光でコントラストが増し、迫力満天だ。4峰までは起伏が激しく時間がかかるが、ここからはそれぞれの岩峰間の距離が縮まる。5峰を降りたところに、3人テントが張れるスペースがある。4峰にも2人用が張れる。 3峰は岳沢側を巻き、2峰へ緩やかに登る。するとオコジョが挨拶しにきた。素早い動きにカメラのズームワークが間に合わないが、こういうときはひたすらシャッターを切るしかない。なんとか撮影に成功。やはり岳沢はオコジョ多いね。前回のコブ尾根も撮影できた。 2峰 さて2峰は懸垂下降。今回は30mを2本持ってきている。2回で懸垂。懸垂中に、向こうの方から声がしてきた。聞き覚えのあるどうやらカトリーヌさん達だ。しんくん達もいるようだ。FBで連絡があったのでどこで出会えるかと思っていたら、どうやら明神の山頂で合流できそうだ。 さて帰ろう。1峰を降りて2峰の登り返し。クライミングで登れば問題はなかったが、もう少し易しいルートがあると思い、少しルンゼを下ったところで落石に遭遇。左足を負傷した。でかい岩が左足を乗り越え、足首に激痛が走る。やってしまったと思った。しばらくはしびれて足が動かなかったが、しばらくするとなんとか足は動かせそうだ。歩けないとなると救助を要請しなければならない。左足に裂傷をおっていて、応急処置。歩くと痛いが、2峰をなんとかクライミングで乗り切った。手ぬぐいで止血。痛み止めのボルタレンを服用。ハッシーさんにザックを担いでもらい、下山開始。ストック二本を補助に使い、ハッシーさんに後についてもらう。3時間で5峰の肩の野営地まで降りた。なんとか歩けている。痛み止めが効いているからだろう。ただし出血は止まらず、靴の中は真っ赤になっていた。さてここからが大変だ。南西尾根の急降下がまっている。足を踏ん張らなくてはいけないが力が入らない。荷物はみんなに分担してもらって空身で降りる。なんとか歩けそうなので、あとはがんばるしなかい。ハッシーさんに後ろからついてもらい2時間半で登山道まで降りることができた。残り1時間は登山道。バスターミナルに戻り、東京医科大学上高地診療所に急行。傷口の洗浄、血圧測定、体温測定、消毒、破傷風の注射、抗生剤の服用で応急処置。地元でも継続治療のために治療内容をメモしてもらい、診療所を後にした。若い女医さんで、お母さんが伊勢の出身らしい。遠いので安瀬にして気をつけて帰ってくださいと見送られた。 翌日に主治医に行く。さすがは大学病院、きっちりと処置がしてあるな。治療を引き継いでもらう。傷が深いので縫わなくていいのかというと、感染菌を排除しようと、自衛的にどんどん体液を傷口から出すので、出させたやる方がいいそうだ。抗生剤と炎症止めの服用で様子を見ることになった。二日目はドラえもんの足のように腫れ上がったが、今日は腫れが引き出した。歩くと傷口は痛いが、しっかりと歩ける。とりあえず今週の御在所はお休みだな。以上顛末記になってしまった。とにかく支援してくれた山仲間に感謝、感謝。 今回でレポートが986号になった。1000回を前に大きなけがをしてしまった。原因は自分の判断ミス。遭難は自分の心の中にある慢心かも。これだけですんだからよかったが、あの岩を体で受けていたら、たぶん助からなかったと思うし、目の前にちぎれたザイルがなかったら、一緒に落ちて行っていたと思う。天が味方してくれたと思うしかない。いつまでも見方はしてくれないので、この教訓を今後に生かしたい。 | ページ1 | ページ2 | |
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