■阿弥陀岳北陵(八ヶ岳) |
レポート No.714 |
【2月9日】 美濃戸口(11:13)〜美濃戸(12:45)〜南沢〜行者小屋野営場(16:20) |
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下山と行っても簡単ではない。最も早く下る方法か来た道を懸垂で帰ることだが、それではおもしろ味がない。予定通り文三郎尾根で下るために、まずは阿弥陀岳を降りなければならないが、これが容易ではない。不安を感じたら確保するようにと、LifePageのJ 店長に言われているのを思い出す。しかし、しっかりとした雪壁で新雪も乗っていないので、ロープなしで降りることにした。ガイドパーティーはコンテで上り下りしているが、大半のパーティーはロープを使っていなかった。 さてコルから中岳沢ルートを使うと行者小屋まで最短だが、「中岳沢の下降は新雪などがあって不安定名時は避けなくてはならない。その場合は中岳を越え、文三郎道を下山することになるが、・・・」(チャレンジアルパインクライミングより引用)コルまで降りてやっと緊張の糸がほぐれた。中岳までの雪稜はすばらしかった。強風にあおられると身体が降られる。 中岳の登りもけっこうきつい。一歩々足を出し山頂を踏む。正面に赤岳が見えてきたコルまで下り文三郎の分岐まで登り返しがある。ここへ来て登攀の疲れが出てきたようで急に足が重くなってきた。文三郎分岐への登りは風が強く何度か身体を持って行かれそうになり耐風姿勢を取った。階上がってきた氷の粒がほおにプチプチとあたって痛かった。 文三郎尾根を少し下ると風は弱まった。気になるのはアタックしてみたいと思っている赤岳主稜だ。よく見ると南稜リッジに一組のパーティーが取り付いていた。さて、西壁主稜の取り付きはどこだ。快調に文三郎尾根を下る。尾根から見る中岳と阿弥陀岳は格別だ。何度も足を止めてシャッターを切った。1時間でテント場に到着した。疲れがどっと出来てきた。バリエーション登攀の緊張の糸が切れたみたいだ。しばらく動けず、アミノバイタルを飲んで身体を休めた。 パッキングが終わる頃になるとテントの数も少なくなってきた。3連休の中日だが明日は天気が悪くなるようなので早々に切り上げたパーティーも多いだろう。我々は最初から1泊の予定だったが。ザックを担ぐと身体が疲労した分だけ重く感じた。といっても下りはやはり楽だ。 午後からさらに天気が良くなってきたようで、青空がきれいだった。何度も振り返りながら中沢ルートを下っていった。薄暗くなり始めた頃に美濃戸口に到着した。あーー疲れた。だけど、それを上回る充実感に浸ることができた。完
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2013年2月11日 Copyright (C) 2013 k.kanamaru. All Rights Reserved. home |