奥穂高岳南稜(北アルプス)2012年7月15日16日 ホーム |
■奥穂高岳南稜(北アルプス)2012年7月15日16日No.681 とっちゃん、うっちー、隊長、うさぎ 吊尾根 南稜の頭に到着したときはガスで何も見えなかったが、徐々にガスが晴れ岳沢側の展望が開けてきた。久し振りの吊尾根だ。といっても過去の記録を見ると2009年に歩いている。一般登山道としては厳しい岩峰コースだが、頭までのバリエーションルートと比べると遊歩道を歩く安心感がある。 紀美子平 後続のうっちーが30分以上遅れているのでゆっくりと歩いてコースタイムの1時間30分で紀美子に到着した。ガスが晴れ、素晴らしい展望を満喫しながら歩けた。ガスの晴れ間から青空がのぞき、前穂高岳が現われた。迫力のある風景だ。予定通り紀美子平には15時20分に到着したものの、このままでは上高地の最終バスがぎりぎりの状態だ。うっちーはまだ後方にいるので行程変更を余儀なくされそうだ。とりあえず重太郎新道を下らなければならない。 岳沢野営場に到着するとすでに17時30分になっていた。とっちゃんとうっちーは遅れそうなので、この時点で今日中の下山は無理と判断した。うっちーが1時間遅れで到着し、下山完了となった。うっちーの到着を待ちテントの手続きに岳沢小屋に降りた。缶ビールで完登の祝杯をあげ、テント場にもどり夕食を摂った。 時間内に行程を消化しきれず、日程変更を余儀なくされたが、延長に伴う予備日はあらかじめ想定されたことである。標高差1000mある高所のバリエーションは、12時間以上の行動が求められ、これまでに山で培ってきた技術、体力、経験を総動員する山行となった。それだけに、充実感もひとしおで、記憶に残る登山のひとつになるだろう。 今回の山行は最初にも書いたように、昨年度から温めてきたプランで、準備段階で最後まで払しょくできなかったことがいくつかあった。取付きのシュルンドの状態、ルンゼの落石のリスク、ハイマツ帯の回避、ルートファインドなどがそうだ。初登のクライミングほどわくわくするが、そこに至るまでに、管理しなければならないリスクがいくつもあった。だけど挑戦してみたいと思う衝動にかられるのは、人間が潜在的に持っている冒険心があるからだろう。「案ずるより産むが易し」ということわざがあるが、実際にアタックを開始してみると、不安な気持ちはいっきされ、これまでに山で培ってきた技術が経験が自然と体を動かし始めた。 心配されたブッシュの回避だが、正面壁を右から巻くことでそれほど苦にすることなく通過できた。正面壁は凹角で突破できるようだが、ガスで確認できなかった。これは次回の課題だ。主稜にとりついてからは、快適な登攀が十分に楽しめたと思う。スタカットのピッチが数ピッチあったが、いずれもハーケンやカム、ハイマツや岩角を使ったナチュラルプロテクションで、自然の岩の面白さがあった。 |
2012年7月17日 Copyright (C) 2012 k.kanamaru. All Rights Reserved. home |