霊仙山(鈴鹿山系) 2012年3月29日 ホーム |
■霊仙山(鈴鹿山系) 2012年3月29日 No.658 隊長、うさぎ プロローグ 2月に入ってから捜索活動に全精力をつぎ込んでいたので、取材の方がおろそかになっていた。雪解けがもう少し進んだ方が捜索に有利なので、今回の山行は、花の百名山の取材に充てることにした。というか、もう待ったなしの状況になっていた。天候にも恵まれ、霊仙の花の時期にはまだ早いが、漆が滝ルートのコースチェックと、残雪期の景観の撮影ができ、久し振りに霊仙を満喫できた アプローチ 福寿草のシーズンは、落合から西南尾根を歩き榑ケ畑コースで下山し周回するコースが人気だ。しかしこの山の表参道は、醒ケ井から入山する二本のルートだ。特に榑ケ畑からは営業小屋もあり最短距離で山頂に立てる。榑ケ畑までの林道も以前は地道だたが、舗装整備され、通行しやすくなった。さて、鈴鹿から醒ケ井までだが、石榑トンネルを使って八日市から北上するルートもあるが、走りやすい関ヶ原経由で入ることにした。といっても三重県側から見ると霊仙山は、鈴鹿山脈の向こう側にあるので、大きく回り込まないといけないので時間がかかる。渋滞もなくスムーズに流れ予定通り8時過ぎに、漆が滝コース登山口に到着した。 登山口に手前に新しくできた林道が目に入ったので、まずはそこ林道のチェックから始めた。私設の道標には榑ケ畑と書かれている。帰りに車の回収だが、この林道を使えば、醒ケ井まで降りなくても、大周りせずに済みそうなので早速、車で林道をトレースしてみた。予想どり、醒ケ井から榑ケ畑まで伸る林道の中間地点に接続されていた。帰路はこの林道を使うことにしよう。 谷山谷登山道登山口まで戻り、準備をして出発した。過去に二度、季節を変えてこのルートを歩いているが、8年も前のことなのですっかり忘れてしまっている。登山口には駐車場があり、案内板なども整備され、迷うことなく安心して入山できる。 屏風岩 登山口を入ってもしばらくは林道が続くが、土石流に削られたり、がけが崩れたりで、林道としての体をなしていない。しばらく歩くと対岸に屏風岩がそそり立っている。よく見るとボルトが整備され終了点の鎖も確認できた。どうやらクライミングの岩場になっているようだ。気になるのは岩の質やらグレードだが、一度触ってみたいと思わせる岩場だ。 屏風岩を過ぎると林道が終わり谷道となる。ルートは災害で荒れていて崩れえ散るところが多いが、岩に赤ペンキのマーキングがしっかりと付けられているので、それに従えば迷うことはない。基本的には谷の遡行と思っていいだろう。雪解けの時期なので水量があり、あちらこちらに小滝や淵が見られ、花の時期にまだ少し早いが、もう少し季節が進むと、ニリンソウなど春の代表的な花が見られそうだ。 漆が滝 横道分岐(広畑)を見送りしばらく進むと徐々に、谷が険しくなってくる。やがて、漆が滝に到着した。豪快に流れ落ち、周囲に飛沫とともに風を巻き起こしている。夏場なら火照った体を冷やすのに都合がいいが、この時期はまだ寒さを感じる。10分ほど滝見物をしコースに復帰した。 井戸ケ洞 さて、コースが厳しくなるのはこの辺りからだ。まずはこの滝を右岸から高巻く。雪解け直後で滑りやすくなっている。固定ロープが随所に設けられ安全確保が図られているが、あくまでもロープは補助手段だ。右岸のトラバース道は谷からの距離もあり慎重に行動したいところだ。さらに谷が深まり、登山道には残雪が乗っている。クラストした雪面をキックステップで進むので、息が切れてきた。ピッケルもアイゼンも必要ないだろうと思っていたが、甘く見たことを後悔する。魔洞滝口からは勾配のきつい山腹道で、腐れかけた雪が足場を悪くしている。ぐいぐい高度を上げ高巻きながら谷の左岸を進んでいく。残雪の乗った谷ルートは慎重な行動が求められるので思ったようには進めず、時間ばかりが喰われていく。 避難小屋 漆が滝から稜線の四丁崖横までは通常なら50分の距離だが、残雪に手こずり、またちょっとしたルートミスもあり、倍以上の時間と体力を消費してしまった。避難小屋に到着すると13:26になっていたので、小屋の前で遅い昼食にした。残雪は多いが春の穏やかな日和に昼寝でもしたい気分になった。 霊仙山本峰 青空のもと、残雪の緩やかな山稜を歩くのは開放的で気分がいい。石灰岩の露頭でゴツゴツした経塚山から、雪面を登り返すと霊仙山本峰だ。今年の冬の厳しさの痕跡が、大規模な雪庇に残っていた。眼下には琵琶湖が、遠くに白山が白い巨体を横たえていた。西南尾根の福寿草が見たいが時間にゆとりがなくなった。しばらく展望を楽しみ、本峰をショートカットで駆け下り榑ケ畑登山道に合流した。 榑ケ畑道は南面で日当たりがよいの体が熱くなってきた。見晴台で給水後、一気に汗ふき峠まで下った。ミスミソウが一斉に花を開いていた。今回の山行で花を見たのはここのミスミソウだけだった。峠から降りると、かなやという山小屋があるが、現役で残っていたのは嬉しかった。村があった痕跡は石済みだけになってしまったが、苔むした石済みに廃村の哀愁が感じられた。谷で靴を洗い林道まで降りた。登山口には立派な東屋が建てられており、地道だった林道が舗装されていた。地道だったころはアプローチに不安があったが、道路がしっかりとしたことでさらに入山しやすくなったと思った。
さて最後の仕上げは、車の回収だ。足も重いが、気持ちはさらに重い。とぼとぼと林道を1時間歩き、出発地点の谷山谷登山口に向かった。 完 |
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