2010年月10日12日 大丹倉(熊野市育生町) |
■大丹倉、表倉(熊野市)2010年10月12日 No.565 隊長 | ページ1 | ページ2 | プロローグ 取材で熊野の山を歩いている。3年も住めばある程度の土地勘ができ、住む人の暖かさや自然の豊かさをひしひしと感じるようになってきた。熊野の山の大半は山頂部まで植林され、登山対象として魅力が薄れているが、山麓の村や川をセットで見てみると、また違った趣の山行が楽しめるだろう。 アプローチ 理科的な話しはここまでにして、まずこの山のロケーションだが、熊野市育生町に位置している。町内には熊野川の源流の北山川が流れ、三重、和歌山の県境になっている。北山川の上流部には七色ダムがあり、近年はバスフィッシングで有名だ。山間部の村で過疎化が進み、学校はすでに廃校となっている。アプローチは熊野灘に面した御浜町からだと、県道52号御浜北山線で札立峠を越えてる。三重県北部からは国道42号、309号、169号線と乗り継ぎ、育生町に入る。御浜町と育生町は、700m前後の山がいくつも連なっている山地で隔てられている。 登山口は高瀬川橋のあたりであることを事前に調べておいた。小さな村なのですぐに見つかり、橋のたもとに3台ほど駐車ができる。田や畑には獣避けネットが張りめぐらされていて、よく見るとネットの奥にハイキングコースの標識が立てられていた。ネットをあけて中に入るとまた柵があり進路が絶たれたので、ネットの外に戻り、民家の方に歩いていくと、2階から地元のおばちゃんが親切に道を教えてくれた。
生活道路 ハイキングコースはかつての生活道路を利用している。石を敷き詰めたり積んだりして、丹念に整備されてきたようだ。、裏街道だが、熊野古道のような雰囲気が感じられる。巨岩・民話・街道などは観光資源になるために、NPO法人が体験プログラムを企画したようだ。真新しい道標が設置され、ハイカーへの配慮も怠りがない。 鉄橋 コースに入るとしばらくは緩やかな山腹道が続くが、やがて地形が険しくなってくるために、谷には鉄橋がかけられている。鉄橋のメンテナンスも行われているようだ。都合8つの橋を渡ることになる。標高450mまで高度を上げてくるとほぼ水平な断崖のトラバース道となる。樹木があるので高度感はあまり感じないが、切り立った断崖の道だ。やがて樹間から大丹倉の岩壁が見えてくる。 天狗鍛冶 渓流の音が聞こえてくると赤倉林道終点は近い。手前の谷筋にはかつて水田があったようで、猫の額ほどの平地があった。やがて舗装された林道終点に出る。車ならここまで上がってくることができるが、それではただの観光地巡りになってしまう。この辺りは近藤兵衛の屋敷があったようで、熊野市により史跡指定されている。案内を見ると兵衛と武士であり修験者であったようで、鍛冶を職業としていた。「天狗鍛冶」と呼ばれるようになったのはこのためだろう。現在でも屋敷跡から金属が出土するようだ。丹倉(あかくら)のいわれとなった断崖を形成する流紋岩に含まれている酸化鉄だが、鍛冶を結びつけるのは無理があるようだ。近くで鉄鉱石が産出されていれば話が通じるが。 大丹倉へは、この林道終点から5分の距離。標高は488mだが、断崖になっているので高度感が感じられる。眼下には尾川川の流れが俯瞰できる。表丹倉の展望もよい。また付近には、高倉大明神の祠がある。山頂一帯は断崖になっていて、手すりなどはないので、崖の縁にはあまり近づかない方がいいだろう。 | ページ1 | ページ2 | |
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