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2005_10_1,2 唐松岳、五竜岳(北アルプス 後立山連峰)

 

唐松岳、五竜岳(北アルプス)2005年10月1日2日No.343 隊長
 9月30日(金)四日市IC(19:00)〜とおみ駐車場(23:00)
10月 1日(土)
とおみ駐車(5:00)〜(タクシー)〜黒菱平(5:30)〜八方山(6:45)〜八方池(7:15)〜唐松山荘(9:35)〜唐松2695m(10:00)〜五竜山荘(13:15) 風雨のためテントに停滞
10月 2日(日)
唐松山荘(7:00)〜大遠見〜中遠見〜小遠見〜アルプス平〜(テレキャビン)〜とおみ駐車場(10:45) *タイムは小休止と撮影を含んでいます

秋雨前線が予想以上に早く南下してきた。アルプスの紅葉は今週か来週が見頃になると思われるが、来週末は仕事が入り行けないので、前線が気になっていたが強行した。前線下のアルプスの2500mの稜線はどうだったかは、想像におまかせする。唐松のピークは踏んだものの、五竜に関しては、初日、二日目ともに山頂アタックの機会をうかがったが、天候は悪化するのみ、次回の楽しみに残しておいた。

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 せめてもの慰めか、ガスの間隙をぬって陽射しに紅葉が輝いた。標高にして2300mあたりがそろそろ見頃を迎えているようだ。これで天気さえ良ければ、たっぷりと時間を使って撮影しながらピーク目指して登りたいところだ。しかし、雲底が徐々に下降してきていて、もう少し高度を上げていくと雲の中に突入しそうだ。このあたりまで来ると、朝一番で小屋を出発してきた登山者と行き交うようになる。

 ダケカンバ帯を過ぎ、ハイマツが見られるような高度になるころに、ガスの中に突入した。登山道は山の南面を巻いているようで、落石注意の崩壊地、鎖場、桟橋が設置されたところがあり、いよいよ岩綾が連続する後立山連峰の片鱗が伺うことができる。高度計を見ると2500mを越えている。もうすぐだろうと、岩場を回り込むと突然、唐松岳頂上山荘が現れた。天候が悪く小屋の周りには誰もいない。ザックを小屋の軒先にデポし、唐松岳に向かう。展望はないが、30分ほどで往復できるので、ピークハンターに徹する。雷鳥が2羽愛嬌を振りまいてくれた。小屋に戻り、少しお腹が空いてきたので、あんパンを食べる。ほっぺが落ちそうだ。小型重機で小屋の人が作業をしているようだ。ガスのなかで風に途切れながら、重機のエンジン音が響いている。稜線に立つ山小屋の雰囲気はどこへやら。


唐松岳山頂

  体を冷やすといけないので、長居をせずに五竜に向かうことにした。天候は悪化の一途をたどっている。最初は霧雨状態だったが、少しずつ大粒の雨が降り出していた。このまま3時間、この稜線を歩けば五竜山荘に到着するが、これだけの時間があれば十分下山もできるいうことだ。選択肢は三つある。ここのキャンプ地で一泊する。このまま下山する。五竜へ向かう。しかし自分の中ではすでに結論は出ている。迷わず「五竜に向かう」を選択した。


愛嬌のある雷鳥


唐松岳山頂山荘

 歩き出すとすぐに岩場の下りが始まる。要所には頑丈な鎖が取り付けられている。ガスのために高度感は得られないが、岩場から下をのぞき込むと底なしのように見える。もともと高所に対する恐怖感はあまりないが、ぬれた岩場はいやな感じする。鎖は、身を預けずにあくまでも補助として利用し、基本は足のグリップだ。2,3度足のグリップを確かめて足を踏み出し、三点を確保する。風と雨が厳しくなってきていて、75リットルのザックが風にあおられるので、足下はがっちりと固めなければならない。大黒岳あたりで五竜からの単独登山者と行き交う。これから先の岩場の様子の情報交換をし、お互いの安全を願う。約1時間ほどの岩場を通過できた。緊張感が緩む。

最低鞍部を通過しハイマツ帯に入る。ここからは五竜に向かって緩やかな登り返しになっている。遮る物のないハイマツ帯は特に風当たりもきつく、ザックをあおられてよろめくことが多くなってきた。天候は確実に悪化している。まともに前線とぶつかりそうな雰囲気だ。天候が良ければ苦もない登りだが、ただ足下の斜面を見ながらひたすら登る。視界がないので距離感もわからない。ただ時間の経過だけで今の位置を確認する。

 遠見尾根の分岐の標柱を見るとすぐに、ガスのなかから五竜山荘が浮かび上がってきた。悪天候の中、山小屋を見ると安堵感が湧いてきた。しかし、この小屋のお世話にはならないつもりだ。時計を見ると13時を少し過ぎたところだ。まずはテント場を確認に行く。稜線から黒部側に3段の列に作られている。ガイドブックには30張りとなっているが、到着が遅いなど条件が悪いとかなりの傾斜地にテントを張らなければならないが、本日は心配ご無用だ。すでにひと張りのテントが設営されているが、好きな場所を選べる。雨の風に強い場所を選ぶがどこも同じだ。黒部側からの風なので、テント場はまともに風を受けている。
 テレキャビン(ゴンドラ)の最終便は確か、16時15分だった。このまま遠見尾根を下山すれば何とかぎりぎり最終日に間に合いそうだ。これも選択肢のひとつだなと思うが、五竜を前にしていきなりチャンスを捨てることもないだろう。とにかく山頂をアタックするチャンスがあるかもしれないので、とりあえずはテントの設営にかかる。痩せた稜線がゆえに風を避けることはできないが、最下段が最も条件が良さそうなので、3段目の適当な場所にする。強風下のテント設営は思った以上に大変だった。ポールを入れて立ち上がると風にあおられる。両手両足をしっかりと使って何とかテントを固定でき、テントの中に逃げ込む。
  雨風のしのげるテントの中は天国のようだ。しかし、強風にあおられるごとにポールが大きくしなり、思わずに背中で内側から支える。時計を見ると14:20になっていた。山頂の往復には2時間を要するので、もし今日中にピークを踏みたいなら、今からすぐに出なければならない。テントの外を覗いてみるが、雨風は収まりそうにないので、本日は断念することにする。
 今日は朝からまともに食事をとっていなかったので、まずは昼食にする。外では到着したグループがテントを設営を始めているようだ。皆さん、かなり苦戦している気配が伝わってくる。結局この日は数張りのテントが設営されたようだ。昨夜の睡眠不足で少し眠ったようだ。19時に夕食にする。食事をとって寝るという、まるでブロイラーのようだ。とにかく天候がどうなろうと朝までは動きがとれないので、ウイスキーの水割りを飲みながらラジオを聞いて過ごす。


五竜山荘

夜中には、ばたばたという音で何度も目が覚める。4時に起床して朝食を済ませ外を覗くが、天候の回復の兆候は全くなく、もはや絶望的な状況だ。6時の時点で撤退を決める。テントの撤収はそれほど難しくはない。テントの中で全部の荷物をザックに詰め込み、外へ出てからテントのポールを抜いてザックに詰め込む。5分で完了した。あとは長い遠見尾根を下るのみだ。遠見尾根は、上部数カ所の鎖場の降下は要注意だが、ダケカンバ、ナナカマド、楓の類が多く、実に紅葉が綺麗な尾根だった。約3時間でテレキャビンのアルプス平駅に到着した。


遠見尾根の紅葉


ゴンドラ テレキャビンは歩いて10分下にある。

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