2020年8月4日〜5日 No.1295

夏の高山植物を期待した山行だったが、長引く梅雨に企画が順延、ときはすでに盛夏となっていた。高山植物はやはり、雪解けを追いかけるように咲くのが旬で、火打・妙高もすでに雪は消えていた。湿原のハクサンコザクラはすでに終わっていて、ワタスゲが白い穂を風になびかせていた。青空に恵まれ、背景に火打山、池の辺りにはワタスゲが群生し絵になる風景の撮影ができた。

キアゲハ
アサギマダラ

花風景、野鳥の撮影の撮影に期待が膨らみ、レンズをどうするか悩んだ。今回はテント泊なので、全体的に軽くしたい。しかし、バリエーションルートではないので、登攀具やロープは不要だ。その分をカメラにつぎ込みたいが、前回の山行から1け月空いていて、しかも猛暑の予報なので体力的にも不安だ。カメラは最軽量のE-M5Ⅲ、レンズは色々悩んだが、結局、万能レンズのOLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3、LUMIX LEICA 45mmマクロをチョイスした。

このレンズ12-200mmは35mm換算だと焦点距離は24-400mmということになる。花、風景、野鳥、全部いけそうだが、ワイド側がf3.5なので過失はそこそこいえるが、望遠側は解像度、質感ともに落ちる。この特徴を踏まえて撮影した。

火打山は妙高連邦(頸城山塊)の一角をなし、標高が2500mに満たないが、山頂付近でハイマツ帯となり高山の雰囲気になる。山麓には湿地が広がり、池塘が点在するのが特徴だ。14mmf9.0で撮影すると、ほぼ全域でフォーカスした画像が得られた。

池塘と火打山 E-M5Ⅲ 14mm(28mm) f9.0 ISO200 1/400 -0.3
ワタスゲの群生と火打山

高谷池ヒュッテ この日は朝5時に駐車場を出発し、涼しうちに高度を稼ぐつもりだったが、フェーン現象気味で気温が上昇し辛い登りとなった。花を撮影しながら時間をかけて登り、9時過ぎに高谷池ヒュッテに到着した。テントを設営していると、クルマユリにキアゲハが密を吸いに来たので設営の手を止めカメラを構えた。登山中の撮影はやはり、機動力が最優先されると思う。花は待ってくれるが、蝶は待ってくれない。

キアゲハ f6.3 1/400 ISO 400 200mm

アサギマダラ テント設営後火打山に向かった。湿地帯を抜け尾根に乗るとハイマツ帯に入った。草付きの斜面にはマルバダケブキが群生してた。南アルプスの針葉樹林に群生するのを見かける。目にとまったのが乱舞するアサギマダラで、ヒョウモンチョウやクジャクチョウが混ざっていた。花のマクロ撮影をもくろんだ山行だったが図らずも、蝶の撮影になり、スタンダードレンズでの望遠端の勝負となった。カメラの機能を生かし、プロキャプチャーモードで撮影してみた。飛んでいる蝶の方が躍動感がある。

f6.3 1/1000 ISO400 -0.3

花のマクロ的な撮影では、やはりボケ味が気になる。結構寄れるこのレンズ、果たしてボケ味はどうか。イワシャジンの背景はハクサンオミナエシ。

鳥はあまり期待しなかったし、鳥レンズを持っていなかったが、目の前に現れるとどうしても撮影したくなる。12-200mmでどこまで採れるかだが、やはりかなり厳しかった。日中はなかなか姿を魅せないウグイスも早朝は良く姿を魅せてくれる。ウグイスが多かったがそれに次いで、亜高山帯の針葉樹林に夏鳥のメボソムシクイが活発だった。さえずりはよく聞こえるが、姿を見つけて撮影できるチャンスはかなり少ない。 35mm換算で400mでは倍率が足りず、写真はトリミングでアップした。このレンズでは、かなり接近しないと解像度は得られない。ウソは、鳴き方にも特徴があり、目立つカラーリングだ。気がつくと直ぐ側にいることがある。

ダケカンバにとまるメボソムシクイ
ウグイス
ウソ

クオリティーをとるか、撮影チャンスを多くモノにするか、出来れば両方を満足させたいが、1泊2日程度の山行ではそうもいかない。このレンズは高山の登山のために購入した経緯があり、機動力を生かした撮影が出来た点ではいい道具だと思う。