タカの渡り
タカの秋の渡りが始まった。懸案だった乗鞍の白樺峠の渡りを、都合と天気を見に行った。自宅を朝4時に出て、峠には8時過ぎに到着した。自宅からの距離が240kmで、北アルプス登山遠征と同じくらいの行程だ。前夜車泊も考えたが、様子見と言うことで、日帰り日程とした。さて白樺峠だが、タカの渡りの観察ポイントとして広く知られている。


峠まではスーパー林道を走る。林道入り口に「たかみ広場」の案内が出ていた。やはり名の知れた場所らしい。駐車場は整備されているが、週末はかなり混み合うようだ。この日は平日だが、登山口付近はほぼ満車だった。駐車場にはトイレもある。峠まで20分の登りになる。撮影機材、食料、水分をもって登った。飛びものだし、手持ち撮影の方が俊敏に対応できるが、映像はやはり少し安定させた方がいいので、一脚とジンバル雲台を持参した。
稜線に上がると白樺林が広がっていた。名称通りだ。観察ポイントに到着するとすでに多くの人が観察や撮影をしていた。スロープが階段状になっていてペンチも設置されていた。峠の標高は約1600mあり、伊吹山より200mほど高い。日射しが強く暑いが、雲で陰ると涼しい。昨日は渡数が600を越えたそうだ。この1週間がピークと言いうことらしい。今日も期待できそうだが、気象条件が大いに影響するだろう。

撮影機材は機動力重視で、OM-1 M.ZUIKO300mmF4に絞った。テレコンはMC14、MC20があるがどうだろうか。早速飛んできたので、高さの感覚がつかめた。峠からは北東方面に松本の町並みが見える。飛んでくる方向と一致している。

飛んでくる個体の場所を示すために地形が掲示されていた。松本向かって谷の左の尾根を越えてくるパターンが多いので順に、鉄塔、コブ、1ピーク、2ピーク、台形、おたかさん、と地名がつけられていた。峠から見る個体は米粒以下にしか見えないので、台形の上といえば、近いから場所がわかる。

最初に来たがツミみだいだが、ごま粒より小さくて撮影より双眼鏡で観察するだけだった。ハチクマが多いようだ。観察記録を見るとハチクマ、サシバはほぼ同数だが、くるのはハチクマばかりだ。コルごとの撮影するが、高くて小さいので、ゴミを量産するばかりだ。谷から入ってきて、峠手前で上昇する個体に絞った方が良さそうだ。
少し高度が低かったので狙ってみた。頭上で羽をたたんで風に乗って一気に通過していった。峠の上でいい風が吹いているようだ。
ツミ
日本最小のタカ。雄はヒヨドリ大、雌はキジバトより小さい。冬は暖地に移動する。




ハイタカ
ハイタカにような?


ハチクマ
この日最も多く見られた。



クマタカ
クマタカは渡り鳥ではない。ここに生息する個体が出てきたのだと思う。3羽が飛んだ。翼の幅、翼の角度で判断できた。旋回しながら急降下を繰り返していた。子供に狩りを教えているのだろうか。



ハチクマの渡り
「鳥たちの旅」(日本放送出版協会)樋口広芳という書籍がある。渡り鳥の衛星追跡の記録が紹介されていた。かねてからサシバやハチクマの飛行ルートに興味があったので購入し読んでみたことがあった。今回もう一度、読み返した。ハチクマの渡りのルートだがやはり、かなりの距離を移動していた。
「あずみ」と名付けられたハチクマの移動記録
9/19 繁殖地の安曇野を出発、岐阜から近畿、中国地方の瀬戸内海沿岸を西へ向い北九州北部、9/28五島列島から東シナ海をほぼ真西に進む(東シナ海680km越え)、9/29 上海の北方揚子江河口付近に到着。中国の内陸部に500km入って南下。ナンチャンから海南島を南に見ながら進む。10/7ベトナム到着。10/12ラオス、10/13タイ、10/17ミャンマー。さらにマレー半島を南下。10/23半島中部のチャムポーン付近に移動。10/26日半島西部の沿岸を南下、プーケット島、ペナン島を西に見ながら進む。10/30シンガポール10/31スマトラの中央付近を真南に進み、11/7ジャワ島に移動。ジャカルタの南を経由しボゴールの東方、タシクマラマに到着し長い旅を終えた。所要日数52日。移動距離9585km。
春の渡りはこれの逆で、2/22に出発し長野の安曇野に5/18着。だったそうだ。




