残雪期のアルプスは終盤にさしかかった。週の半ばから急に気温が上がり、各地で真夏日を観測している。上高地も例に漏れず、昼間は25度まで気温が上がった。今回の登山は奥明神沢の雪渓の状態が鍵を握っていて、心配しながら現地入りした。

河童橋

上高地 残雪の山と新緑の風景が広がる上高地だが、気温は夏の気温となり、すがすがしさが感じられない。観光客が多く、河童橋を人を避けながら渡った。鳥たちも元気で、あちらこちらでのど自慢をしていた。上高地はこの季節がもっとも輝いている 。

梓川と穂高
ウグイス
岳沢

樹林を抜け河原に出ると西穂から奥穂へ続く稜線のパノラマが広がる。青空をバックに雪渓のある風景は、実にアルペン的で登山者の登高意欲を刺激する。

岳沢

明日登る奥明神沢の雪渓がやはり気になる。下から見る限りはつながっているようだが。数人のパーティーが訓練をしていた。滑落停止訓練は重要だが、実際にできるかどうかはやはり訓練を重ねるしかないと思う。クライミングもそうだが、落ちるときはバランスが崩れた状態なわけで、不意に起こるのが常。

夕食
岳沢小屋

小屋の夕食は17時で、あじのフライ、唐揚げがうまかった。明日に備えしっかりとご飯を食べた。千葉のソロ男性とテーブルが一緒になり、彼も奥明神沢を登るらいい。まだ経験が浅くいけるところまで行ってその場の判断で引き返す計画のようだ。明日は3時に起床し、食事をとって4時出発に備え早く休んだ。

出発

奥明神沢 予定通り4時過ぎに出発できた、千葉の男性ソロも含めて5人パーティーとなった。今日も夏日になる予報で雪渓の状態がどのようになるかが気がかり。ガイドパーティーは30分前に出発していて雪渓にヘッデンの列が見えていた。

ダイレクトルンゼ手前
ダイレクトルンゼ

ダイレクトルンゼ 出だしは傾斜が緩い ダイレクトルンゼに入ると急傾斜になる。ストックをピッケルとアックスに持ち替え、前方からの落石に注意を払いながら一歩一歩高度を上げていく。振り返ると急傾斜の高度感に身が締まる。休憩は給水と撮影で立ち止まる程度で、雪渓が狭まったところは早く通過したい。

もうすぐ山頂だ

前穂高岳 ハイマツ帯に入ったところで小休止を入れ約3時間で登頂できた。山頂に立つの素晴らしいパノラマが広がった。風もなく寒くもなく実に穏やかだ。長居をしたくなる天気に恵まれた。周囲の山を同定しながら登頂を喜びを共有した。

前穂高岳
奥明神沢とジャンダルム

明神岳へ まずは奥明神沢のコルまで進むことにする。何度の歩いているバリエーションルートだが、浮き石や岩が多い。大きな岩でも動くときがあり、慎重に岩を触りながら歩いた。

明神へ
奥明神沢と穂高の稜線

パーティーの大半はダイレクトルンゼを下っていて、明神まで足を伸ばすグループは少なかった。コルからの降り口は岩屑が詰まったルンゼで落石の誘発には注意を要する。全員が雪面に取り付き一安心していると、なんと後続パーティーが主峰から降りてきた。落石のリスクが高まるので、常に後続を見ながら下った。こればかりはお互い様なので、早く発見しコールしたい。先ほど山頂で、ダイレクトルンゼを転がり落ちる落石を見ているので脳裏によぎる。

厳しい下り

ダイレクトルンゼ分岐まではかなりの傾斜なので後ろ向きに、アックスとピッケルのダブルで下る。やはり二本あると安心感が違う。単純な作業だが一歩でもミスるとビレイをしていないので、大事故につながりかねない。集中力を切らさないように。それぞれに力量があるので、ロープは出さずに個人力を信じる。

2時間弱で岳沢に到着した。今日も夏日のようで雪渓の上だが汗だくになった。お昼ご飯は、小屋の名物のカレーライス。いろいろと種類があって困ったが、ベジタブルにした。昨年は売り切れで食べられなかったので、余計においしく感じた。

南陵 トリコニー
絵になる絵

12時に上高地まで戻り、沢渡で汗を流して帰路についた。今回もいい山だった。だからまた生きたくなるのだろう。

http://photocb.sakura.ne.jp/html/2019/2019_05_2526maeho/2019_05_25.htm

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