1週間が経過すると伊吹山の様子が気になり始める。ニーナがいるときは、餌の配達が途切れたときはなるべく行くようにしていた。そして今は親のイヌワシの生活、花の推移などが気になる。この日も猛暑日の予報で、日が高くなる前にいい撮影が出来れば、午後から帰ろうと思っていた。駐車場に到着すると気温が22度ですがすがしかった。南風微風の予報なので、撮影位置を決めまねた。イヌワシは上昇気流を巧みに操って飛行するので、撮影出来る確率が高い場所に居たい。

イヌワシ

7:20 駐車場近くでカメラのレンズが下を向いている。どうやら木に留まっているようだ。話を聞くと6:30に来たときにはすでに泊まっていたとのこと。距離は約150m。撮影条件としてはいい方なので、飛ばれる前にとりあえず手持ち撮影。

イヌワシ 雄

9:10-9:30  やはり風向が南なので、そちらを飛んでいるようで、9時過ぎに尾根の木に留まった。もろに逆光、空抜けでどうにも出来なかった。

尾根の木の先端に留まっている
尾根の木からの飛び出し

花の散策で山頂遊歩道に出かけた。シモツケソウの花はほぼ終了し、サラシナショウマが花の見頃だ。和名が、若芽を茹でて、水にさらして山菜として食したことに由来するそうだが、伊吹山ではシカの食害から免れている植物。キンポウゲ科の植物はあまり食用には適さないようだ。アサギマダラを撮りたかったが、なかなかチャンスが来なかった。

アサギマダラとシモツケソウ

クサボタン これは秋の花でキンポウゲ科の小低木。この近辺では、伊吹山、霊仙山、御池岳など石灰岩質の山で見られる。これの花が咲き出すと秋本番だが、依然として猛暑日が続いている。今年はエルニーニョ現象の影響とも言われるが、温室効果ガスの排出量の増加が主因らしい。伊吹山ではシカの食害が目につきやすいが、もとを辿ると地球の温暖化だと思う。保水力のない石灰岩地形の山では樹木が育ちにくい。残雪の水で春の草本類が育つ。残雪のない状態では草花は育たない。イヌワシの餌となるノウサギは、草を食べる動物だ。残り少ない草を鹿が食べてしまう。ピラミッドの頂点に立つイヌワシは、底辺が崩れてしまうと生きてはいけない。

クサボタン キンポウゲ科
ススキが出てきた 季節は秋
ミツバフウロ
キヌタソウ アカね科
ルリトラノオ

サラシナショウマ

サラシナショウマは秋の伊吹山を代表する植物だ。今でも大きな群落を作っているのが嬉しい。

サラシナショウマ
サラシナショウマの花穂にとまるアカネ
オトギリソウ オトギリソウ科
東地区の鹿
花が終わったシモツケソウ 

ツマグロヒョウモン

ツマグロヒョウモンの何が問題か。この蝶は南方系の種類で、30年以上前はこの地方ではやや珍しい種類だった。温暖化の影響で伊吹山でもよく見られるヒョウモンチョウになってしまった。

マルバダケブキとツマグロヒョウモンのメス

マルバダケブキ

亜高山帯のダケカンバや、トウヒなどの針葉樹林の林床でよく見かける植物。伊吹山には、部分的に群落を作っている。温暖化の影響で消えていく花もあれば、マルバダケブキ、サラシナショウマのように持ちこたえる植物もある。

マルバダケブキとハナバチ

13:00 お立ち台に留まったようなので見に行った。先にも書いたが、その日の撮影ポジションにはいつも悩まされる。飛んでいるか留まっているかなど、撮りたい写真、飛んでくる場所などはその日の気象条件に左右される。今日はどうも、お立ち台によく留まるようだ。この後、南斜面に飛び立った。少し風が出てきて飛び始めた。次はどこからやってくるか。

13:20 北尾根上空で旋回するが遠すぎる。ハヤブサに次いでイヌワシの飛行速度はやはり。急降下すればおそらく、200〜300km/hのレベルにある。伊吹山の尾根にいたはずだが、今度は北尾根上空で旋回していた。

15:08 いきなり谷から上昇してきた。たぶん、斜面に沿って飛んできて、上昇気流で尾根に上がったと思われる。ということは足元を飛んできたと言うこと。突然、車道の上に出てきて、遠ざかるシチュエーション。記録写真しか撮れない。上から来ると思っていたら、下から来るし、その逆もある。前から来ると思ったら後ろから来るし、イヌワシに振り回された一日だった。最後は、駐車場上空を通過してくれたが、ガスではっきりしなかった。撮影チャンスの多い一日だったが、満足できる写真はなかった。ずるずると夕方まで粘ったが、最後は小熊が出てきてくれてありがとう。

15:08 ペアの飛行が見られたが、距離が遠すぎた。大曲にいれば、いいのが撮れたと思うが、接近する可能性の高い場所に居たので仕方がない。

ペアの飛行
ペアの飛行
ペアの飛行

ラストチャンスか?駐車場に向かってやってくる。雄だ。期待して待つと、なんとガスの中に突入。これで接近戦の2回目のチャンスが消えた。一日中粘っていると言うことは、いいのが撮れてない証拠だ。

アキアカネ

夕方になりアキアカネがたくさん飛び出した。

アキアカネ

ツキノワグマ

小熊が出てきてくれた。塒入りの前に、どこなの岩に留まってくれないか待ったが駄目だった。最後はツキノワグマの子が出てきてくれた。親と離れて暮らし始めたようだ。小熊の雄は3歳になるまでに独り立ちし、出生地を離れるようだが、メスはその地にとどまることがあるようだ。

ツキノワグマ

朝、7時過ぎに現地入りし、夕方の17時30分まで粘った一日だった。伊吹山は標高が1400m近くあり、暑さは平野部ほどではないが、風が弱く暑い一日だった。アキアカネが飛び交い、秋の花が咲き始めた山頂部の朝夕は、涼しく過ごしやすかった。ニーナが巣立っていれば、今頃はファミリーで飛翔する様子が観察できたはず。きっと多くのカメラマンが全国から集ったことだろう。夏の夢に終わってしまった。しかし、親鷲には今後も頑張ってほしいし、エールを送り見守っていきたい。

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